重度障害者の通勤・職場介助、利用実績は85自治体・364人 地域差も明らかに

厚生労働省は、「雇用施策との連携による重度障害者等就労支援特別事業」の実施状況を公表しました。

2026年3月31日時点で、事業の利用に向けて協議している自治体は109自治体です。このうち、実際に利用実績がある自治体は85自治体で、利用者は合わせて364人となっています。就業形態別では、企業などに雇用されている人が187人、自営業などで働く人が177人でした。

通勤や職場で必要となる支援を提供

この事業は、重度訪問介護、同行援護、行動援護を利用する重度障害者などが、通勤や職場で必要な支援を受けながら働けるようにする制度です。

民間企業で雇用されている場合は、企業が障害者雇用納付金制度に基づく助成金を活用し、職場介助者や通勤援助者を確保します。そのうえで、助成金の対象外となる喀痰吸引や姿勢の調整などの支援、4か月目以降の通勤支援などを、市区町村の事業と組み合わせて提供します。

自営業者などについては、市区町村が必要と認めた場合に、通勤や職場での支援を提供する仕組みです。実施主体は市区町村で、国が費用の2分の1、都道府県と市区町村がそれぞれ4分の1を負担します。

支援の利用状況には地域差

支援内容別では、重度訪問介護による支援が207人、同行援護が153人、行動援護が4人となっています。

自治体別に見ると、大阪市が58人、札幌市が33人、京都市が26人である一方、事業の利用に向けて協議している109自治体のうち、24自治体では利用実績がありません。利用者数は自治体の人口や対象者数にも左右されるため単純な比較はできませんが、制度の実施状況や利用の広がりに地域差があることがうかがえます。

制度を必要とする人が利用するには、本人の申請だけでなく、市区町村、企業、支援事業者、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構などの間で、支援内容や費用負担を調整する必要があります。相談支援専門員や就労支援機関には、本人が住む自治体で事業が実施されているかを確認し、関係機関をつなぐ役割が求められます。

福祉教育ラボの視点

障害のある人の就労支援は、就職先を見つけるだけでは完結しません。

通勤できること、必要な介助を受けられること、職場で安全に過ごせることまで整って、初めて「働き続ける」という選択が現実になります。

必要な支援を受けられるかどうかが居住する自治体によって左右されれば、本人の能力や意欲とは別のところで、働き方の選択肢が狭められます。今後は、実施自治体数や利用者数の増加だけでなく、制度を必要とする人が相談や申請につながり、実際に利用できているかを確認していく必要があります。

一次資料

厚生労働省「障害者の就労支援対策の状況」

厚生労働省「雇用施策との連携による重度障害者等就労支援特別事業内示自治体・実施状況」

厚生労働省「重度障害者等に対する通勤や職場等における支援について」