家族介護者支援を拡充|介護保険最新情報Vol.1537で相談窓口・企業連携・ピア支援を明記
地域・福祉・就労をつなぐ支援へ
厚生労働省は「介護保険最新情報Vol.1537」を発出し、 地域支援事業実施要綱などの改正内容を公表しました。 家族介護者本人の生活や仕事にも目を向けた支援が、 より明確に位置付けられています。
関連通知は改正済みで、2026年4月1日から適用されています。 「審議中」の制度案ではありません。
家族介護支援事業は任意事業です。 全国すべての市町村で、同じ支援が一律に始まるという意味ではありません。
家族介護者支援は、どう広がったのか
大きな変更の一つが、「家族介護支援事業」の再編・充実です。 これまで以上に、介護を受ける本人だけではなく、 介護する家族自身の生活や人生の質 に着目した支援が明確になりました。
相談しやすい仕組み
相談窓口の設置に加え、仕事や生活状況に配慮した相談、 オンライン相談なども想定されています。
家族同士の交流
家族介護者同士の交流会や、同じ経験を持つ人による ピアサポート、ピアサポーター育成などが示されています。
企業との連携
企業を含む地域ネットワークづくりや、 職場へ出向いて行う「仕事と介護の両立支援講座」なども例示されました。
複合的な課題を把握
ダブルケアラー、ヤングケアラー、8050問題などを含め、 地域にどのような家族介護の課題があるのかを把握していくことも示されています。
「家庭の中」だけで支えない仕組みへ
今回の改正では、生活支援コーディネーターについても、 地域包括支援センターと連携しながら、 家族介護者を含む複雑・複合的な課題を把握し、 多様な関係機関をつなぐ役割がより明確になりました。
家族介護を「家族の責任」として閉じるのではなく、 福祉、地域、就労、子育てなどを横断して支える方向が よりはっきり示されたと見ることができます。
ただし「制度がある」と「地域で使える」は同じではない
家族介護支援事業は、市町村が地域の実情に応じて実施する「任意事業」です。 そのため、相談窓口、交流会、オンライン相談、企業連携などの具体的な内容は、 自治体によって異なる可能性があります。
今後は「国が制度を示したか」だけでなく、 実際に住んでいる市町村でどのような支援が行われているのかを 確認することが重要になります。
「介護情報利活用事業」も新たに位置付け
今回の改正では、新たに「介護情報利活用事業」も 地域支援事業に位置付けられました。
情報連携
医療機関など
市町村、介護事業者、医療機関などが持つ情報を連携し、 業務の効率化だけでなく、 介護サービスの質の向上につなげることが目的とされています。
現場で確認しておきたいこと
- 担当地域の市町村に、家族介護者向けの相談窓口があるか
- 仕事と介護の両立について相談できる支援があるか
- 家族介護者同士の交流会やピアサポートが行われているか
- 地域包括支援センターや生活支援コーディネーターと、 企業・労働分野との連携がどこまで進んでいるか
- ケアマネジメントの中で「家族自身の生活」を捉えられているか
福祉教育ラボの視点
家族が介護を担っていると、 私たちはつい「本人をどのように支えるか」に目を向けがちです。
けれど、介護をする家族にも仕事があり、 家庭があり、その人自身の人生があります。
「家族だから支えるのは当然」とするのではなく、 介護を担う人もまた、必要なときに支えられる存在として捉えること。 今回の改正には、そうした方向性を見ることができます。
制度が示されたあとに本当に大切になるのは、 それぞれの地域で支援がどのように形になり、 必要としている人へ届いていくかです。
今後の確認点
今後は、各市町村が今回示されたメニューを 実際にどこまで取り入れるのかが重要になります。
とくに相談窓口、オンライン相談、ピア支援、 企業との連携、仕事と介護の両立支援などについては、 地域ごとの具体的な整備状況を確認していく必要があります。


