2027年度介護報酬改定|LIFE関連加算はどう変わる?2階層化・アウトカム評価を整理

2026年9月3日、厚生労働省は第264回社会保障審議会介護給付費分科会を開催しました。

今回、2027年度介護報酬改定に向けたテーマの一つとして取り上げられたのが、「科学的介護情報システム(LIFE)」です。

重複入力 / LIFE関連加算 / 2階層化 / フィードバック / アウトカム評価

LIFEはすでに多くの介護施設・事業所で使われています。

一方で、同じようなデータを複数の加算で提出する負担、提出したデータをケア改善へどう返すのか、そして「良い介護の成果」を何で評価するのかという次の課題が見えてきました。

現在は検討段階

現段階で、LIFE関連加算の2階層化や、新たなサービスへの対象拡大が決まったわけではありません。

この記事では、すでに確認できる事実と、2027年度介護報酬改定に向けて検討されていることを分けて整理します。

最初に結論|今回のLIFE議論で押さえたい5つのポイント

LIFEの普及

2025年4月時点で、施設系約7割、通所・居住系約5割が利用しています。

LIFE関連加算

17種類あり、異なる加算の間で重複する提出項目があります。

加算構造

科学的介護推進体制加算を基礎とする「2階層化」が検討材料になっています。

フィードバック

データを提出するだけでなく、実際のケア改善へどう使うかが課題です。

そして、今回の大きな論点

「何を介護の成果として評価するのか」というアウトカム評価が、2027年度介護報酬改定の正式な論点として示されました。

論点 現在地
LIFEの普及 2025年4月時点で施設系約7割、通所・居住系約5割が利用
LIFE関連加算 17種類あり、加算間で重複する提出項目がある
加算構造 科学的介護推進体制加算を基礎とする「2階層化」が検討材料
フィードバック 提出した情報を実際のケア改善へどう使うかが課題
アウトカム評価 「何を介護の成果として評価するのか」が2027年度改定の論点

出典: 厚生労働省 第264回社会保障審議会介護給付費分科会

LIFEはどこまで広がっているのか

まず、現在の普及状況を見てみましょう。

厚生労働省によると、2025年4月時点でLIFEを利用している事業所は、施設系サービスで約7割、通所・居住系サービスで約5割です。

「利用」と「加算算定」は別です

「LIFEを利用している事業所」と「LIFE関連加算を算定している事業所」は同じ意味ではありません。

資料3では、LIFE関連加算を算定している事業所の割合も別に示されています。

施設系サービス 2025年4月時点のLIFE関連加算算定割合
介護老人保健施設 87.3%
介護老人福祉施設 77.7%
地域密着型介護老人福祉施設 72.8%
介護医療院 63.9%

LIFEはすでに、一部の先進的な施設だけが使う仕組みではなくなっています。

利用が広がったからこそ、「導入するかどうか」の次の問題が問われ始めています。

LIFE関連加算は17種類|重複入力が課題に

現在、LIFE関連加算は17種類あります。

科学的介護推進体制加算だけではなく、ADL、個別機能訓練、リハビリテーション、褥瘡、排せつ、栄養、口腔、薬剤、自立支援など、さまざまな領域でLIFEへのデータ提出が関係しています。

厚生労働省が示している課題

第264回資料3では、「加算間で重複した提出項目がある」ことが現状の課題として明記されています。

例えば、一人の利用者について複数のLIFE関連加算を算定している場合、基本情報や身体状況など、似た情報を複数の様式で扱うことがあります。

2024年度介護報酬改定でも、共通する評価項目の選択肢をそろえることや、一定の場合にデータ提出時期を合わせられるようにするなど、負担軽減の見直しが行われました。

それでもなお、重複する提出項目は2027年度改定に向けた課題として残っています。

ここで問われていること

「もっとデータを集めるべきか」だけではありません。必要なデータを残しながら、同じ情報を何度も評価・入力する負担をどう減らすかという問題です。

LIFEの目的は「データを提出すること」ではない

そもそも、LIFEは何のためにあるのでしょうか。

「科学的介護情報システム(LIFE)のあり方」検討会は、LIFEの最終的な目的を「利用者に対するケアの質を改善すること」と整理しています。

そのための経路として、大きく3つが示されています。

  • 利用者フィードバックを個別ケアに生かす
  • 事業所フィードバックを組織全体のケア改善へ生かす
  • 蓄積されたデータを研究等に活用し、介護そのものの質向上へつなげる
データ提出 → フィードバック → 振り返り → ケアの改善

LIFEへ入力する。データを送る。加算を算定する。

そこで終わる仕組みではありません。

フィードバックは実際に使われているのか

では、現場ではLIFEのフィードバックがどの程度使われているのでしょうか。

今回使われている調査の正式名称は、「令和6年度介護報酬改定の効果検証及び調査研究に係る調査(令和7年度調査)」です。

その中の「令和6年度介護報酬改定におけるLIFEの見直し項目及びLIFEを活用した質の高い介護の更なる推進に資する調査研究事業」で、フィードバックの利用状況などが調べられています。

確認された状況 結果
事業所フィードバックで有用と感じる層別化項目「要介護度」 約4割
利用者フィードバック「ADL合計点」の閲覧・確認 3〜4割程度
居住系等で「層別化機能は使っていない」 42.7%

これをもって、「LIFEは活用されていない」と評価することはできません。

ただし、データを提出できていることと、そのデータを日々の支援改善へ十分に使えていることは別の問題です。

2027年度改定では、「提出させる仕組み」だけではなく、「返ってきた情報を本当に使える仕組み」にできるかも重要になります。

科学的介護推進体制加算を「1階」にする案

今後、現場への影響が比較的大きくなり得るのが、LIFE関連加算の構造です。

LIFEのあり方検討会は、現在の科学的介護推進体制加算を、分野横断的な基礎情報を集める「1階層目」として整理する方向を示しました。

それ以外のLIFE関連加算は、その上に位置づける「2階層目」とする考え方です。

1階層目

科学的介護推進体制加算。分野横断的な基礎情報を共通して収集する位置づけ。

2階層目

褥瘡、排せつ、栄養、個別機能訓練など、各専門領域の情報を上乗せする位置づけ。

重複項目を整理しやすくなり、LIFE全体のデータ構造をそろえやすくなる可能性があります。

まだ決定ではありません

2027年度介護報酬改定で、この2階層化が導入されることが確定したわけではありません。検討会が示した方向性を、介護給付費分科会で今後検討する段階です。

2階層化された場合、影響を受ける事業所もある

この案には、実務上もう一つ重要な意味があります。

検討会では、科学的介護推進体制加算を算定したうえで、2階層目のLIFE関連加算を算定する構造が示されています。

現在、LIFE関連加算を算定している事業所の約9割は、すでに科学的介護推進体制加算も併算定しています。

逆にいえば、少数ながら「他のLIFE関連加算は算定しているが、科学的介護推進体制加算は算定していない」という事業所もあります。

第254回分科会でも、このような事業所にとって新たな算定の壁にならないかという懸念が委員から示されています。

現段階で言えること

「2027年度から科学的介護推進体制加算が必須になる」とはまだ言えません。一方で、2階層化が実現すれば、現在の算定方法を見直す必要が生じる事業所がある可能性があります。

LIFEの対象はさらに広がるのか

対象サービスの拡大も議論されています。

ただし、これも決定事項ではありません。

LIFEのあり方検討会は、現在LIFE関連加算の新たな導入を検討する訪問系・通所系サービス等について、一人の利用者に複数事業所が関わることや、小規模事業所が多いことなどを踏まえ、2027年度介護報酬改定に向けた新規導入は慎重に検討すべきとしています。

一方、第254回分科会では、早期の対象拡大を見据えて検討すべきという意見や、LIFE関連加算そのものとは別に「データ提出」を評価する方法を検討してはどうかという意見なども出ています。

現在の整理

「拡大する」とも「拡大しない」とも、まだ決まっていません。どのサービスで、何のデータを収集し、どのように評価すれば公平なのかという設計から検討されています。

2027年度改定の核心|アウトカム評価

今回、最も重要な論点の一つが「アウトカム評価」です。

アウトカムとは、簡単にいえば「支援の結果として、利用者にどのような変化や状態が生じたのか」という成果です。

第264回資料3では、2027年度介護報酬改定に向けて「LIFE関連加算のデータ提出、アウトカム評価」をどう考えるのかが正式な論点として示されています。

二つは少し違う問いです

データ提出は「何を測るか」という問題です。

アウトカム評価は「何を良い結果とするか」という問題です。

「改善」だけが介護の成果なのか

資料3には、LIFEに蓄積されたADLデータについて、6か月・12か月後の「改善・維持・悪化」の状況も示されています。

多くのサービスでは「維持」の割合が最も大きくなっています。

介護では、状態を改善することが重要な場面があります。

一方、高齢者の状態や疾患によっては、現在の機能を維持できたこと、苦痛を減らせたこと、生活を継続できたこと自体が重要な成果になる場合があります。

アウトカム評価を強化するときには、「改善したか」だけではなく、どのような利用者に対して、どのような状態を「成果」と捉えるのかまで慎重に考える必要があります。

ここは、数字の設計の話であると同時に、介護が何を目指すのかという問いでもあります。

介護ソフトとの連携も実務上のポイント

今回の調査では、LIFE関連加算を算定している事業所について、LIFEのCSV連携に対応した介護ソフトの利用状況も調べられています。

介護ソフトの導入状況 割合
完全導入 65.1%
一部導入 29.5%
導入なし 5.4%

今後、入力負担を減らすという意味では、「介護ソフトを導入しているか」だけでは十分ではありません。

  • 一度入力した情報を再利用できるか
  • LIFE用に同じ内容を再入力しなくて済むか
  • 介護情報基盤など、他の仕組みとも情報をつなげられるか

という「データの流れ」が重要になります。

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現場はいま何を確認しておけばよいのか

現時点で、2027年度改定を先取りして新しい入力を始めたり、加算の算定方法を変更したりする必要はありません。

まだ制度は確定していないからです。

一方で、自事業所の現在地を整理しておくことには意味があります。

確認すること 見ておきたいポイント
LIFE関連加算 現在どの加算を算定しているか
科学的介護推進体制加算 現在算定しているか
重複入力 同じ利用者情報を複数様式へ繰り返し入力していないか
フィードバック 誰が確認し、ケア会議や計画変更にどう使っているか
介護ソフト LIFEのCSV連携にどこまで対応しているか
業務フロー LIFE入力が特定の職員だけの仕事になっていないか
今の段階で大切なこと

制度を予測して動くことより、「現在どこでデータを集め、誰が入力し、どこへ提出し、どうケアへ返しているのか」を見えるようにしておくことです。

福祉教育ラボの視点|「測れるもの」と「大切なもの」をどうつなぐか

福祉教育ラボの視点

LIFEには大きな可能性があります。

ADL、体重、栄養状態、認知機能、口腔状態、排せつ、褥瘡。

これまで職員個人の経験や感覚だけでは見えにくかった変化を、継続的なデータとして確認できます。

全国から蓄積されたデータによって、「どのような状態の人に、どのような支援が有効なのか」を検証できる可能性もあります。

科学的根拠を増やすことは、介護にとって重要です。

一方で、測定できるものと、その人にとって大切なものは、完全には一致しません。

安心して過ごせたこと。

好きなものを食べられたこと。

家族との時間を持てたこと。

自分で選べたこと。

慣れた場所で暮らし続けられたこと。

そうした価値は、単一の数値では表しにくいものです。

アウトカム評価と「その人らしさ」は対立しない

「アウトカムを評価すること」と「数値だけで人を評価すること」は、分けて考える必要があります。

介護報酬で評価される指標は、現場が何を重視するかにも影響を与えます。

測りやすいものだけを成果に設定すれば、測りにくい支援が後ろへ下がる可能性があります。

反対に、データを本人の言葉、生活歴、専門職の観察や判断と組み合わせることができれば、LIFEは人を数字に置き換える仕組みではなく、「その人をよりよく理解するための材料」にもなり得ます。

科学的介護と、その人らしい生活。

どちらか一方ではありません。

測れるものと、大切なものをどうつなぐのか。

2027年度介護報酬改定のLIFE議論では、そこまで見ていく必要があると思います。

まとめ|LIFEは「提出する仕組み」から次の段階へ

第264回介護給付費分科会によって、LIFEは2027年度介護報酬改定の具体的な検討テーマに入りました。

  • LIFEを利用している事業所は施設系で約7割、通所・居住系で約5割
  • LIFE関連加算は17種類
  • 加算間に重複する提出項目がある
  • 科学的介護推進体制加算を1階層目とする案が検討されている
  • フィードバックをケア改善へどうつなげるかが課題
  • 「何を介護の成果とするか」というアウトカム評価が正式な論点

ただし、2階層化や対象サービスの拡大などは、まだ確定した制度ではありません。

LIFEをめぐる問いは変わりつつあります

「データを提出しているか」から、「何を集めるのか」「どう入力負担を減らすのか」「どうケアへ返すのか」「何を良い介護の成果とするのか」へ。

LIFEの提出項目については作業部会で検討が続いており、厚生労働省は2026年秋ごろに検討結果を介護給付費分科会へ報告する予定です。

そこで具体的な様式や項目、加算構造の方向が示されれば、現場への影響もさらに見えてきます。

福祉教育ラボでは、今後も「決まったこと」と「検討されていること」を分けながら追っていきます。

主な一次資料