介護情報基盤とは?2026年開始|介護保険証・マイナンバーカード・ケアプランはどう変わる?
2026年4月から、「介護情報基盤」の運用が段階的に始まりました。
介護保険の資格情報や要介護認定情報、ケアプラン、LIFEに蓄積された情報などを、 自治体や介護事業所、本人などが必要に応じて電子的に共有・確認できるようにしていく仕組みです。
ただし、2026年8月時点では全国一斉にすべてが切り替わったわけではありません。 紙の介護保険証も引き続き利用されます。
- 介護情報基盤は2026年4月から段階的に始まりました。
- 2026年8月時点では、まだ全国一斉運用ではありません。
- 紙の介護保険証は現在も利用できます。
- 介護事業所が認定情報やケアプランなどを見るには、原則本人の同意が必要です。
- マイナンバーカードを利用しない人にも、本人確認の方法が用意されています。
- 認知症等があっても、家族が当然に代理同意できるわけではありません。
介護情報基盤とは
介護情報基盤は、これまで自治体や介護事業所などに分散していた介護に関する情報を、 必要な関係者が電子的に共有・活用できるようにするための全国的な情報基盤です。
対象となる情報には、段階的に次のようなものが含まれていく予定です。
介護情報基盤は段階的に機能が拡充されます。 自治体の利用開始時期にも違いがあります。
2026年4月に始まったが、まだ全国一斉ではない
介護情報基盤は2026年4月から段階的に運用が始まりました。
しかし、2026年7月22日に厚生労働省が示した資料では、 4月から8月までに利用開始する自治体は2自治体とされていました。
2026年7月10日時点の移行見込みでは、 2028年4月までに介護情報基盤を利用開始する予定の自治体は 1,545自治体で、全自治体の約88.7%でした。
被保険者数で見ると約2,627万人、全体の約73.2%に相当します。
国が掲げている目標は、2028年4月までに全市町村が利用開始することです。 「国の目標」と「現時点の自治体の移行見込み」は、分けて見る必要があります。
紙の介護保険証はなくなるのか
2026年8月時点では、紙の介護保険証は引き続き利用できます。
厚生労働省は自治体向け資料でも、 被保険者証の紙による運用について、 これまでどおりの運用と変わらないとしています。
したがって、 「介護情報基盤が始まったから紙の介護保険証がすぐ使えなくなる」 という理解ではありません。
国は、65歳時などの一斉交付から、 要介護認定申請時などに交付する運用へ変更することも検討しています。
マイナンバーカードは介護保険証としてどう使うのか
本人の自治体が介護情報基盤の利用を開始した後は、 マイナンバーカードを介護保険証として利用することができます。
また、介護情報基盤の利用開始前から マイナンバーカードを健康保険証として利用登録している人については、 自治体側の初期設定完了後、原則として追加手続なしで 介護保険証としても利用できる仕組みとされています。
マイナンバーカードを持っていないからといって、 介護サービスを利用できなくなるわけではありません。
マイナポータルでは何が見られるのか
2026年4月1日時点で、 マイナポータルから確認できる介護情報は、 まず介護保険証情報です。
今後は段階的に、次の情報も確認できるようになる予定です。
- 要介護認定に関する情報
- 認定審査の進捗
- ケアプラン
- LIFE情報の一部
- 住宅改修費や福祉用具購入費等に関する情報
介護情報基盤は、 「すべての情報を一か所へ集め、誰でも見られるようにする」 ための仕組みではありません。
介護事業所は本人の情報を自由に見られるのか
自由に見られるわけではありません。 要介護認定情報やケアプラン等の閲覧には、原則本人の同意が必要です。
介護情報基盤に情報そのものが登録されていても、 必要な同意が確認されていなければ、 介護事業所側の画面に対象情報を表示しない仕組みが設けられています。
情報を必要な支援者へ届けやすくすること。 そして、本人のプライバシーと意思を守ること。
誰が本人の同意を確認するのか
本人の同意取得は、自治体だけが行うわけではありません。
新たに要介護認定を申請する人などは、 自治体が手続きの中で本人の意向を確認することが基本となります。
一方、すでに介護サービスを利用している人については、 居宅介護支援事業所や施設・居住系サービス事業所などが、 自治体に代わって本人へ説明し、 同意を確認する仕組みも用意されています。
大切なのは「同意書へ署名してもらうこと」だけではありません。 本人が、何に同意するのかを理解できる説明が必要です。
認知症などで本人による意思確認が難しい場合はどうなるのか
認知症があるからといって、 最初から本人を手続きから外すことは適切ではありません。
まず必要なのは、本人の理解力や意思決定能力を一律に決めつけるのではなく、 本人自身の意思をできる限り確認できるよう支援することです。
- 分かりやすい言葉で説明する
- 説明する時間帯を変える
- 本人が信頼している人に同席してもらう
- 一度にすべてを説明しない
- 本人が選びやすい形で情報を提示する
そのうえで、本人自身による意思確認が難しい場合には、 法定代理人などによる対応が考えられます。
家族という関係だけで当然に本人の代わりに同意できる、 という単純な仕組みではありません。 本人の権利擁護との関係も含めて慎重な確認が必要です。
一般のマイナポータルには代理人機能がありますが、 基本的には本人による代理人登録などの手続きが前提です。
本人による意思確認が困難で、法定代理人もいない場合などの取扱いについては、 今後も具体的な運用を確認していく必要があります。
マイナンバーカードを使わない場合はどうするのか
マイナンバーカードを介護保険証として利用しない人にも、 情報確認の方法が用意されています。
介護事業所が紙の介護保険証などを確認して本人を特定する際に利用する 「4情報」は次のとおりです。
本人確認に使用する4情報は、 介護被保険者番号・介護保険者番号、カナ氏名、生年月日、性別です。
これらを介護WEBサービスへ入力して本人確認する方法が用意されています。
マイナンバーカードを使わないことによって、 直ちに必要な介護サービスや情報共有から外される仕組みにはなっていません。
主治医意見書も電子化される
介護情報基盤によって変わるのは、 介護保険証やケアプランだけではありません。
要介護認定に必要な主治医意見書についても、 電子的な情報連携が進められます。
電子化によって、 郵送や持参、書類管理、情報入力などの負担を減らせることが期待されています。
新しい操作の習得、既存システムとの接続、 職員研修、紙と電子が併存する期間の二重管理などが 発生する可能性もあります。
DXは「システムを導入したか」ではなく、 最終的に現場の業務や本人への支援がどう変わったかで 評価する必要があります。
介護情報基盤によって現場はどう変わるのか
介護情報基盤が十分に機能すれば、 これまで複数の場所に分かれていた情報を確認しやすくなる可能性があります。
- 認定情報を確認しやすくなる
- 過去のケアプランを引き継ぎやすくなる
- LIFE等の情報を活用しやすくなる
- 転居・入退院時の情報連携がしやすくなる
- 紙のやり取りを減らせる可能性がある
- 本人が今どう感じているか
- 本人が何を望んでいるか
- 家族が何に困っているか
- 生活が以前からどう変わったか
- 記録に表れない思いや不安
「情報があること」と「本人を理解すること」は違う
介護情報基盤では、これまで以上に多くの情報を参照できる可能性があります。
それは支援にとって大きな利点です。
しかし同時に、 「情報を見たから、その人を理解した」 という錯覚にも注意したいところです。
ケアプランには、その時点で把握された本人の希望や生活課題が書かれています。
LIFEには、身体機能や生活機能などについてのデータがあります。
要介護認定情報にも、その人の状態を示す情報があります。
けれど、人の生活は変わります。
介護情報基盤で得られる情報を「答え」とするのではなく、 「本人に尋ねるための材料」として使うことが大切です。
利用者・家族が知っておきたいこと
「介護がすべてマイナンバーカードへ切り替わった」 と考える必要はありません。
介護情報基盤によって、 情報を届ける速さは変わっていくかもしれません。
紙を探す時間が減る。
何度も同じ情報を確認しなくてよくなる。
自治体、ケアマネジャー、介護事業所、医療機関の間で、 必要な情報がつながりやすくなる。
それによって、支援する人が事務作業ではなく、 本人と向き合う時間を少しでも増やせるのであれば、 デジタル化には大きな意味があります。
一方で、便利な仕組みができるほど、 大切にしたいこともあります。
情報を共有してよいかを本人に尋ねること。
本人が理解しやすい言葉で説明すること。
認知症があるからといって、 本人の意思を最初から置き去りにしないこと。
データの向こう側に、 一人の人の暮らしがあることを忘れないこと。
情報をたくさん集めることではなく、
必要な情報が、必要な人へ、必要なときに届き、
その人の暮らしをよりよく支えられるようにすること。
どれだけ高度なシステムができても、
「今日はどうですか」
「これから、どんなふうに暮らしていきたいですか」
と本人に尋ねることの代わりにはなりません。
むしろ、情報共有が便利になるからこそ、 そこで生まれた時間を、人と人との対話へ戻していけるのか。
介護DXの価値は、その先で問われるのではないでしょうか。
福祉教育ラボでは、介護情報基盤を単なるデジタル化のニュースとしてではなく、 「情報をどう本人の暮らしへ返していくのか」という視点から、 今後の普及や制度運用を見ていきたいと考えています。
- 厚生労働省「介護情報基盤について」
- 厚生労働省「介護情報基盤 自治体向け説明会資料」(2026年7月22日)
- 厚生労働省「介護情報基盤における同意取得等について」
- 厚生労働省「介護情報基盤に係る介護事業所等向け資料」
- 厚生労働省 Webマガジン「介護情報基盤が始まります」
- デジタル庁「マイナポータル」代理人機能に関する案内


