在宅介護の姿が変わっている

最新の国民生活基礎調査から見える現場の課題

厚生労働省が公表した「2025(令和7)年 国民生活基礎調査」では、在宅で要介護者等がいる世帯の姿が大きく変化していることが示されました。

在宅の要介護者等がいる世帯では、「単独世帯」が33.2%となり、調査開始当初と比べて大きく増加しています。一方、「三世代世帯」は9.0%まで減少しました。また、主な介護者と要介護者がともに65歳以上である、いわゆる「老老介護」は61.9%、60歳以上同士では79.0%となっています。

数字だけを見ると、「高齢化が進んでいる」という印象を受けます。しかし、この調査が示しているのは、単なる高齢化ではありません。

介護を支える「家族の形」が大きく変わってきているということです。

「家族がいるから安心」とは言えない時代へ

以前は、介護が必要になっても同居する家族が支えることを前提とした生活が一般的でした。

しかし現在は、一人暮らしの要介護者が増え、同居していても高齢の配偶者が介護を担うケースが珍しくありません。

つまり、

「家族がいるか」

ではなく、

「家族が支えられる状況にあるか」

を確認する必要があります。

例えば、

・介護者自身も通院していないか
・買い物や受診を手伝える人はいるか
・急変時に駆けつけられる人はいるか
・介護負担が限界に近づいていないか

といった視点は、ケアマネジャーや相談員だけでなく、介護職員にとっても重要なアセスメント項目です。

数字の変化は、支援のあり方の変化でもある

今回の調査結果は、在宅介護が「家族だけで支える時代」から、「地域や専門職とともに支える時代」へ移りつつあることを示しています。

単独世帯では、服薬管理や緊急時対応、地域とのつながりづくりがより重要になります。

老老介護では、要介護者だけでなく介護者自身への支援も欠かせません。

介護サービスを利用しているから安心ではなく、その人を支えるネットワーク全体を見ていく視点が、これまで以上に求められています。

福祉教育ラボの視点

統計は、社会全体の変化を教えてくれます。

しかし、現場で支援する私たちが向き合うのは、「33.2%」という数字ではなく、一人ひとりの暮らしです。

一人暮らしだから支援が難しいのではありません。

家族と同居しているから安心でもありません。

本当に大切なのは、

「この人の生活は、誰が、どのように支えているのか」

という視点です。

家族構成だけでは見えない生活背景や地域とのつながりまで丁寧に把握することが、これからのケアマネジメントや相談援助には欠かせません。

今回の調査結果は、「家族介護の変化」を示す統計であると同時に、私たちの支援のあり方を見直すきっかけでもあります。

福祉教育ラボでは、制度や統計を紹介するだけでなく、その数字が現場の支援にどのような意味を持つのかを、これからも分かりやすく整理していきます。