デイサービスは「お風呂へ行く場所」ではない
令和9年度(2027年度)介護報酬改定へ、改めて問われる役割とは
「デイサービス」と聞いて、何を思い浮かべますか。
「お風呂に入る場所」「食事をする場所」「レクリエーションを楽しむ場所」――そのようなイメージを持つ方は少なくありません。
もちろん、それらはデイサービスの大切な機能です。しかし、介護保険制度における通所介護(デイサービス)の役割は、それだけではありません。
厚生労働省では、令和9年度(2027年度)介護報酬改定に向けた議論が進められており、通所介護についても現状や課題が整理されています。現時点では具体的な報酬改定は決まっていませんが、「これからのデイサービスに何が求められるのか」が改めて議論されています。
制度を正しく理解すると、デイサービスの見え方は大きく変わります。

介護保険制度では、通所介護の目的として、利用者の社会的孤立感の解消、心身機能の維持、そして家族の身体的・精神的負担の軽減が示されています。
つまり、デイサービスは単にサービスを提供する場所ではなく、住み慣れた地域で暮らし続けるための生活を支える拠点として位置づけられています。
例えば、定期的な外出によって生活リズムを整えること、人との交流を通じて社会とのつながりを維持すること、日中活動や機能訓練を通して心身の活動を維持すること、認知症のある方が安心して過ごせる環境を整えること、そして家族が安心して介護を続けられる時間を確保することなど、多様な役割を担っています。
人口減少や介護人材不足が進む中で、地域によって利用者数や介護ニーズは大きく変化しています。
そのため、限られた人材や財源の中でも地域の在宅生活を支えるために、デイサービスが果たす役割をどのように評価し、維持していくかが、令和9年度介護報酬改定に向けた重要な論点の一つとなっています。

福祉教育ラボの視点
デイサービスの価値は、入浴や食事、機能訓練を提供した回数だけでは測れません。
大切なのは、その支援によって、利用者の生活がどのように支えられたのかという視点です。
デイサービスへ通うことで外出の機会が生まれ、人とのつながりが保たれる。生活リズムが整い、自宅での暮らしを続けやすくなる。家族にも休息や仕事を続ける時間が生まれる。こうした一つひとつの変化が、在宅生活の継続につながっています。
入浴や食事、日中活動は、それ自体が最終的な目的ではありません。利用者が住み慣れた地域で、その人らしい生活を続けるための手段です。
だからこそ、これからのデイサービスには、「何を提供したか」だけでなく、「その人の暮らしにどのような意味をもたらしたか」を丁寧に捉えることが求められます。
令和9年度(2027年度)介護報酬改定に向けた議論でも、事業の効率性や人材確保だけでなく、デイサービスが地域の暮らしを支える機能をどのように評価し、守っていくのかという視点が欠かせません。
福祉教育ラボは、デイサービスを単なる通所の場ではなく、本人、家族、地域の生活をつなぎ、支える仕組みとして捉える必要があると考えます。


