特養・老健・介護医療院の違いを説明できますか?介護報酬改定、施設サービスの役割を議論
令和9年度(2027年度)介護報酬改定へ、施設サービスの役割を議論
「特別養護老人ホーム」「介護老人保健施設」「介護医療院」。
介護や福祉の仕事に携わっていても、それぞれの役割の違いを明確に説明するのは意外と難しいものです。
厚生労働省では、令和9年度(2027年度)介護報酬改定に向けた議論が進められており、令和8年7月9日に開催された介護給付費分科会では、これらの施設サービスが主な議題となりました。
現時点では具体的な報酬改定や基準の変更は決まっていません。しかし、高齢化の進展や医療ニーズの変化、人材不足などを背景に、それぞれの施設が担う役割や評価のあり方について検討が進められています。

まず、特別養護老人ホーム(特養)は、要介護度の高い高齢者が長期に生活する場です。日常生活全般の介護を提供し、住まいとしての役割を担っています。
介護老人保健施設(老健)は、病院と自宅の中間に位置づけられる施設です。リハビリテーションや医療、介護を一体的に提供し、在宅復帰を目指すことが大きな目的となっています。
一方、介護医療院は、長期的な医療が必要な方が生活を続けられる施設です。医療を受けながら生活する場として、医療と介護の両方を支える役割を担っています。
それぞれの施設は似ているように見えても、制度上の目的や求められる機能は異なります。
近年は高齢者の重度化や医療ニーズの増加に加え、介護人材不足や物価高騰など、施設運営を取り巻く環境も大きく変化しています。
そのため今回の審議会では、施設ごとの役割分担を改めて整理するとともに、地域包括ケアシステムの中で、それぞれの施設がどのような機能を果たしていくべきかが議論されています。

今後は、医療ニーズへの対応や在宅との連携、人材確保、施設経営の持続可能性なども含めて議論が進められ、令和9年度(2027年度)介護報酬改定へ向けた具体的な制度設計が検討されていきます。
なお、現在はあくまでも審議会での検討段階であり、具体的な報酬や運営基準が決定したわけではありません。今後も議論の内容を確認しながら、制度の方向性を見守ることが重要です。
福祉教育ラボの視点
特養、老健、介護医療院は、「どの施設が優れているか」を比較するための制度ではありません。
それぞれが異なる役割を担い、利用者の状態や生活の目標に応じて選ばれることで、地域の介護を支えています。
例えば、生活の場として安心して暮らし続けることが必要な人もいれば、リハビリを通じて自宅への復帰を目指す人、医療的なケアを受けながら生活を続けることが必要な人もいます。
大切なのは施設の名称ではなく、「その人にとって、今どのような支援が最も必要なのか」という視点です。
令和9年度(2027年度)介護報酬改定では、それぞれの施設が本来の役割を十分に発揮し、地域包括ケアシステムの中で利用者の暮らしを支え続けられる制度となるのかが、大きなポイントになるでしょう。


