2026年度 デジタル中核人材養成研修|申込日程・対象者・受講料・申込方法

厚生労働省の令和8年度「デジタル中核人材養成研修」は、2026年9月から2027年1月にかけて実施される研修です。受講料は無料で、全国対象9セット(うち短縮版1セット)と山形県の地域研修1セット、計2,300人の定員が設定されています。

この研修は、介護テクノロジーを単に導入するための操作研修ではありません。現場の課題を把握し、職員間で目的を共有しながら、導入計画の策定、運用、効果検証、継続的な改善まで進められる中核人材を育成するものです。

この記事は、2026年9月3日に確認した厚生労働省・日本介護福祉士会の公表情報をもとに整理しています。研修セットごとの募集は定員に達し次第終了するため、表の日付だけでは実際の受付可否や残席状況は判断できません。

まず確認したい4つのポイント

  • 開催期間:2026年9月〜2027年1月
  • 定員:計2,300人
  • 受講料:無料
  • 開催方法:オンライン授業+自職場での実践

申込日程|セットごとに受付期間が異なる

2026年度は、全国対象9セット(うち短縮版1セット)と、山形県を対象とする地域研修1セットの計10セットが設定されています。

定員は、全国対象のNo.1〜7・9・10が各250人、地域研修No.8が50人で、計2,300人です。

公表資料では、No.1の申込期間は8月6日〜9月3日とされています。No.2〜6も下表の日程で設定され、セット7〜10の申込開始日はいずれも9月24日です。実際の受付可否は、公表された期間だけでは判断できません。

申込みを検討している方へ
各セットは定員に達し次第、受付終了となります。下表は公表された申込期間であり、リアルタイムの残席状況を示すものではありません。
セット 対象 申込期間 オンライン授業
No.1全国8/6〜9/39/18・10/26・12/7
No.2全国8/6〜9/159/30・11/4・12/15
No.3全国8/6〜9/2710/8・11/12・12/18
No.4全国8/18〜10/610/16・11/18・12/25
No.5全国8/18〜10/1210/22・11/27・2027/1/12
No.6全国8/18〜10/1910/29・12/1・2027/1/14
No.7全国9/24〜10/2711/6・12/9・2027/1/19
No.8原則:山形県(条件を満たす隣接県を含む)9/24〜11/311/13・12/17・2027/1/22
No.9全国9/24〜11/911/19・12/22・2027/1/27
No.10全国・短縮版9/24〜11/151日目免除・11/25・2027/1/5

スマートフォンでは表を左右にスクロールしてご覧いただけます。

オンライン授業の開催時間は、通常セットでは1日目が9:30〜14:00、2日目・3日目が9:30〜13:00です。No.10短縮版は1日目が免除され、2日目が9:30〜14:00、3日目が9:30〜13:00です。

No.8は地域研修で、原則として勤務先が山形県にある方が対象です。ただし、受講者や施設・事業所同士が現地での情報交換等を無理なく行うことができる隣接都道府県の方も受講できます。

No.10は短縮版で、「介護現場の業務改善」について基礎的な知識を有し、厚生労働省の「生産性向上ビギナーセミナー・フォローアップセミナー」を受講した方が対象となります。

対象者|介護職だけに限定されていない

受講対象となるのは、次の2つの要件を満たす方です。

  • 介護保険法に基づくサービスを提供するサービス事業所、老人福祉法に基づく養護老人ホーム・軽費老人ホーム、またはこれらを運営する法人などでの勤務経験が通算3年以上あること
  • 今後、所属先で生産性向上や業務改善、介護テクノロジーの導入・活用を推進する中核人材として、取組に関わる意向があること

訪問介護事業所や居宅介護支援事業所も対象に含まれます。

また、対象となる職種や役職は限定されていません。介護職だけでなく、看護職、リハビリテーション専門職、相談職、事務職、管理職、法人本部職員など、所属先で業務改善や介護テクノロジーの導入・活用を担うことが期待される方が対象です。

介護福祉士資格は必須ではありません
募集要項では、介護福祉士資格や日本介護福祉士会の会員であることは受講要件として掲げられていません。

研修内容|学ぶのは「ICTの使い方」だけではない

事前課題には、生産性向上やICTに関する内容だけでなく、「介護職の倫理と利用者の全人性・尊厳の実践的理解」「介護過程の応用的理解」「介護テクノロジー活用の基礎的理解」が組み込まれています。

介護過程についても、アセスメント、計画立案、実行、評価という一連の流れや、自立・快適・安全といったアセスメントの視点が扱われます。

通常セットの主な流れは次のとおりです。No.10短縮版は1日目が免除されます。

  1. 事前課題
  2. オンライン授業1日目
  3. 自職場での実践課題①(業務分析・約4週間)
  4. オンライン授業2日目
  5. 自職場での実践課題②(介護テクノロジー導入計画書の作成・約4週間)
  6. オンライン授業3日目
  7. 確認テスト

オンライン授業では、「介護現場の業務改善」「介護テクノロジーの導入」「利用者支援に向けた活用」を演習形式で学びます。

さらに1日目終了後には、自職場で約4週間かけて業務分析に取り組みます。2日目終了後には、業務分析によって可視化された課題をもとに、介護テクノロジー導入計画書を作成します。

研修を聞いて終わるのではなく、自分の職場を題材として、課題を把握し、改善策を検討し、実際の導入計画へつなげるところまでが研修に組み込まれています。

Zoom、Googleアプリ、Slack、生成AIなども活用

研修では、Zoomのほか、Googleスライド、スプレッドシート、Keep、スマートフォンの音声入力、ビジネスチャットツールのSlackなどが、使用するツールの例として示されています。

令和8年度の募集要項では、生成AI「NotebookLM」も使用するツールの例として挙げられています。

受講環境|PCが原則必要、スマートフォンだけでは受講できない

オンライン研修ですが、受講には原則としてPCが必要です。

Webカメラ、イヤホン、マイクなどを準備し、受講者一人につき1台のPCで参加します。やむを得ない場合にはキーボード付きタブレットも使用できますが、Googleアプリなどを十分に操作できない場合があるため推奨されていません。

オンライン授業ではカメラをオンにして参加する必要があり、参加が確認できない場合は欠席扱いとなります。

スマートフォンのみでのオンライン授業参加はできません
一方、募集要項では、研修で使用するツール等の例として「スマートフォンの音声入力」が挙げられています。

申込方法|「Googleフォーム → ケアウェル」の2段階

  1. 受講者本人がGoogleフォームへ回答
  2. 事務局が受講要件を確認
  3. 申込案内メールを受信
  4. ケアウェルで希望する研修セットを正式申込

まず受講者本人がGoogleフォームへ回答します。その内容を事務局が確認した後、申込方法の案内メールが送られます。回答内容によって受講要件等の個別確認が必要な場合は、案内メールの送信まで時間を要することがあります。

その後、日本介護福祉士会が運営する研修管理サイト「ケアウェル」から希望する研修セットを申し込み、手続完了となります。

Googleフォームへの回答だけでは申込完了ではありません
ケアウェルからの研修申込みまで完了する必要があります。また、複数の研修セットへの重複申込みはできません。オンライン授業では、遅刻、途中退席、欠席、代理受講、聴講、他の研修セットへの振替は認められていません。

修了要件|すべての必須プログラムを終える

研修期間中に、必須の事前課題の受講、オンライン授業3日間(No.10は2日間)への出席、自職場での実践課題の提出、確認テストの合格が求められます。確認テストは集合研修終了後1週間以内に実施し、基準を満たさない場合は再受験となります。

オンライン授業を欠席した場合には次のプログラムへ進むことができず、一部の日程だけ別の研修セットへ振り替えることもできません。カメラをオンにして参加が確認できない場合も欠席扱いとなります。

受講を検討する際には、研修日だけでなく、その間に自職場で業務分析や導入計画作成に取り組む時間も含め、所属先で受講環境を整えておくことが重要です。

申込前に確認したい受講上の重要事項

  • 受講の様子はすべて録画され、その動画・画像は本事業および厚生労働省の取組に使用されます。
  • 受講者・傍聴者による録画、録音、撮影は認められていません。
  • 修了者は「デジタル中核人材養成研修修了者」として名簿に登録されます。
  • 本事業や厚生労働省の生産性向上の取組に関するアンケート・インタビュー等への協力を求められる場合があります。

「2027年1月開催」は2027年度研修ではない

2027年1月に実施されるオンライン授業はあります。ただし、これらは令和8年度・2026年度研修の後半日程です。

No.5以降の複数セットでは、3日目のオンライン授業が2027年1月に設定されています。

つまり、「2027年1月に行われる研修」はありますが、「2027年度研修」とは別です。2026年9月3日に確認した公式情報は、令和8年度・2026年度研修についてのものです。

研修を修了すると介護報酬の「加算」が取れる?

今回確認した令和8年度の募集要項や公式募集案内では、本研修の修了そのものを介護報酬上の加算算定要件とする記載は確認できませんでした。

介護分野では「生産性向上推進体制加算」など、生産性向上に関係する介護報酬上の仕組みがありますが、「この研修を修了すれば加算を算定できる」という理解は適切ではありません。

加算を算定する場合には、それぞれの介護報酬上の算定要件を別途確認する必要があります。

福祉教育ラボの視点

効率化は「余白をなくすため」ではなく、ケアの余白をつくるため

「生産性向上」という言葉から、仕事を速くすること、少ない人数でより多くの業務をこなすこと、人員を減らすことを思い浮かべる人もいるかもしれません。

しかし、介護分野における生産性向上は、それだけでは捉えられません。

厚生労働省の生産性向上ガイドラインでは、介護サービスにおける生産性向上を「介護の価値を高めること」と捉えています。

業務改善によって生まれた時間を利用者に向き合う時間へ振り向けること、人材育成に使うこと、情報共有を改善してチームケアの質を高めること。量的な効率化とケアそのものの質の向上を結びつけることが示されています。

ICT化や介護テクノロジーの導入は「目的」ではありません。人にしかできない支援を、より厚くするための「手段」として考えることが重要です。

記録の二重入力を減らす。必要な情報を探す時間を減らす。職員間の情報共有を速くする。身体的負担の大きな業務をテクノロジーで支える。

そこで生まれた時間や人の力を、さらに別の仕事で埋め尽くしてしまうのではなく、利用者の話を聴くこと、表情や生活の変化に気づくこと、家族と話し合うこと、職員同士で支援を振り返ることへ戻していく。

福祉教育ラボでは、そのための「余白」をつくることが、介護現場における効率化の重要な意味の一つだと考えます。

その「余白」は、ムダではない

利用者の言葉にもう少し耳を傾けられる時間。予定外の変化に対応できる余力。家族の不安を聞く時間。「このケアで本当によかったのか」とチームで振り返る時間。

これらは、数字だけを見れば効率化の対象に見えることがあるかもしれません。しかし、人を支える福祉実践においては、むしろ支援の厚みを生み出す重要な時間です。

組織論的にいえば、このような余力は、ある種の「冗長性」と捉えることもできます。

効率化によって削るべきなのは、こうした支援の厚みではなく、支援の厚みを奪っているムリ・ムダ・ムラの方ではないでしょうか。

個別ケアだからこそ、チームで考える

今回の研修で、「倫理」「介護過程」「アセスメント」「自立支援」「個別性の高いケア」が、デジタル技術の学習とともに組み込まれていることは重要です。

質の高い個別ケアは、一人の職員が自分の判断だけで提供するものではありません。

利用者の生活歴や価値観、心身の状態、生活環境、本人の希望などを丁寧にアセスメントし、支援の方向性を考え、実践し、評価する。その過程をチームで共有しながら、一人ひとりに合わせた、一貫性のあるケアを紡いでいく。

そこには、介護過程を基盤としたチームケアがあります。ICTは、必要な情報を共有し、変化を把握し、支援を振り返るための強力な手段になり得ます。

デジタル化が進むほど、人の専門性が問われる

しかし、ICTそのものが「この人にとって、どのような暮らしが望ましいのか」を決めてくれるわけではありません。

  • 何を大切な情報として読み取るのか
  • 本人の言葉をどう受け止めるのか
  • 安全と本人の希望がぶつかったとき、どう考えるのか
  • 異なる専門職の見方をどう調整するのか
  • チームとして支援の方向性をどう共有するのか

そこには、倫理、アセスメント、介護過程、対人援助、チームマネジメントといった福祉職としての専門性が必要です。

デジタル化が進めば、福祉職の専門性が薄くなるのではなく、むしろ反対なのかもしれません。

テクノロジーに任せられる業務が増えるほど、人が担うべき「見る」「聴く」「考える」「判断する」「関係をつくる」「チームで合意する」という営みの質が、より明確に問われるようになります。

ICT化によって目指すのは、人の時間をただ削ることではなく、人にしかできない支援へ、時間と専門性をより厚く配分できる現場をつくること。

今回のデジタル中核人材養成研修は、「デジタルに強い職員」を育てる研修というだけではありません。

テクノロジーを一つの手段として、業務改善と介護の質を結びつけ、チームでその変化を動かしていく人材を育てる研修として捉えると、その意味がより見えてくるのではないでしょうか。

一次資料・参考資料

※本記事は2026年9月3日に公表情報を再確認しています。申込状況、募集人数、研修内容等は変更される可能性があります。各セットは定員に達し次第受付終了となるため、実際の受付可否や残席状況は主催者・運営事務局の最新情報でご確認ください。