2026年の熱中症救急搬送|高齢者・室内に注意 最新状況、症状・応急処置と予防
2026年8月3日から9日までの1週間に、 全国で熱中症により救急搬送された人は7,611人でした。 その61.4%が65歳以上で、 発生場所では「住居」が42.5%を占めています。
熱中症は、 高齢者だけに起こるものでも、 炎天下で運動したときだけに起こるものでもありません。 室内や夜間でも発症し、 子ども、働く世代、高齢者では注意する場面も異なります。
この記事では、 2026年の救急搬送状況を入口に、 初期症状、救急車を呼ぶ目安、応急処置、 高齢者・室内での注意点、WBGT、 家庭・学校・介護現場・職場での予防を、 国や専門学会の一次資料から整理します。
2026年8月3日~9日|まず確認したい数字
2026年の熱中症救急搬送|最新状況
総務省消防庁によると、 2026年8月3日から9日までの全国の熱中症による救急搬送人員は 7,611人でした。
年齢区分では65歳以上が61.4%
| 年齢区分 | 人数 | 割合 |
|---|---|---|
| 65歳以上 | 4,676人 | 61.4% |
| 18歳以上65歳未満 | 2,334人 | 30.7% |
| 7歳以上18歳未満 | 572人 | 7.5% |
| 生後28日以上7歳未満 | 29人 | 0.4% |
スマートフォンでは表を左右にスクロールしてご覧いただけます。
発生場所では「住居」が42.5%で最多
| 主な発生場所 | 人数 | 割合 |
|---|---|---|
| 住居 | 3,238人 | 42.5% |
| 道路 | 1,472人 | 19.3% |
| 仕事場① | 812人 | 10.7% |
| 公衆(屋外) | 784人 | 10.3% |
消防庁の「住居」には敷地内すべての場所が含まれます。 「仕事場①」は道路工事現場、工場、作業所等を指します。
「軽症59.5%」の読み方にも注意
初診時の傷病程度では、 軽症が4,531人(59.5%)、 中等症が2,848人(37.4%)、 重症が136人(1.8%)、 死亡が19人(0.2%)でした。
5月1日から8月9日までの累計搬送人員は59,812人です。 直近の一部データは速報値のため、 後日修正される場合があります。
なぜ今「高齢者」と「住居」に注意したいのか
熱中症というと、 真夏の屋外やスポーツ中の発症を思い浮かべることがあります。
しかし、2026年8月3日~9日の消防庁速報では、 搬送者の61.4%が65歳以上であり、 発生場所では住居が42.5%で最多でした。
日本救急医学会の 「熱中症診療ガイドライン2024」でも、 日常生活の高齢者における 非労作性熱中症が重要な課題として整理されています。
高齢者では、 加齢に伴う体温調節機能の変化に加えて、 暑さやのどの渇きへの気づき、 水分摂取、 基礎疾患、 薬剤、 生活環境など、 複数の要因が重なることがあります。
熱中症の初期症状と、支援者が気づきたい「いつもと違う」
厚生労働省は、 熱中症が疑われる症状の例として、 次のような症状を挙げています。
熱中症が疑われる症状の例
- めまい
- 大量の発汗
- 立ちくらみ
- 筋肉痛
- 生あくび
- 筋肉のこむら返り
福祉・介護の支援場面では、 症状名だけではなく、 「いつもの本人との違い」を捉えることも重要です。
例えば、 いつもより反応が鈍い、 会話がかみ合いにくい、 動きが弱い、 水分をほとんど取れていないなど、 日頃の状態からの変化があれば、 暑熱環境や体調を確認するきっかけになります。
救急車を呼ぶ目安|自力で水が飲めない・意識がない場合は119番
・意識がない
熱中症では、 状態が急速に悪化することがあります。
意識の状態に異常がある、 自力で飲水できない場合には、 水を飲ませようとせず、 119番通報と身体冷却を優先します。
判断に迷う場合は、 地域の救急相談窓口や医療機関へ相談してください。 明らかな緊急性がある場合には119番してください。
熱中症が疑われるときの応急処置
厚生労働省は、 経口補水液を一時に大量に飲むと ナトリウムの過剰摂取になる可能性があることにも注意を促しています。
腎臓や心臓などの疾患で、 医師から水分摂取について指示を受けている場合は、 その指示を優先してください。
室内・夜間でも熱中症は起こる
熱中症は屋外だけの問題ではありません。
厚生労働省も、 室内で何もしていないときでも熱中症を発症し、 救急搬送や死亡に至る場合があると注意を呼びかけています。
環境省の熱中症リスクカレンダーでも、 夜間に暑さ指数(WBGT)が高い場合には、 とくに高齢者を中心として 室内で熱中症が発生する危険性が高くなるとしています。
子ども・成人・高齢者で、注意する場面は違う
周囲の大人が環境と状態を見る
- 遊びや運動に集中し、休憩を忘れやすい
- 自分で不調を十分説明できないことがある
- 活動を自分の判断だけで止めにくい
- WBGTを確認し、活動自体を調整する
仕事・運動・移動中にも注意
- 仕事や通勤、スポーツでも発症する
- 暑さに慣れていない時期は特に注意する
- 休憩や水分補給を後回しにしない
- 体調不良時は負荷を下げる
生活の場・室内も含めて考える
- 本人の自覚だけに頼らない
- 室温や冷房使用状況を確認する
- 水分摂取や普段との反応の違いを見る
- 持病・服薬は医師や薬剤師へ相談する
熱中症は「気温何度から」では判断できない|WBGTの見方
「気温が何度なら危険なのか」と考えがちですが、 熱中症には気温だけでなく、 湿度、日射・輻射熱、風、活動量、服装、体調などが関係します。
暑さ指数(WBGT)は、 気温だけではなく、 湿度と日射・輻射熱などを取り入れて 熱中症の危険を評価するための指標です。
| WBGT | 目安 | 運動時の考え方 |
|---|---|---|
| 31以上 | 危険 | 特別な場合を除き運動は原則中止。 特に子どもは中止すべき水準 |
| 28以上31未満 | 厳重警戒 | 激しい運動や持久走を避け、 10~20分おきに休憩 |
| 25以上28未満 | 警戒 | 積極的に休憩し、 水分・塩分を補給 |
| 21以上25未満 | 注意 | 熱中症の兆候に注意し、 積極的に水分を補給 |
運動指針として示された基準です。 日常生活・職場については、それぞれの環境や本人の状態も含めて判断してください。
介護施設・訪問・送迎・入浴介助でどう考えるか
福祉・介護の現場では、 利用者の熱中症予防だけでなく、 支援する職員自身の暑熱負担も考える必要があります。
例えば、次のような場面では 暑さが蓄積しやすくなっていないか確認する視点が必要です。
これらは介護場面ごとに国が一律の危険基準を示したものではなく、 職場の暑熱対策を介護現場へ置き換えて考える際の確認例です。
職場の熱中症対策は2025年6月から強化
2025年6月1日施行の改正労働安全衛生規則により、 WBGT28度以上または気温31℃以上の場所で、 連続1時間以上または1日4時間を超えて行うことが見込まれる作業について、 熱中症の重篤化を防止するための対応が強化されました。
対象となる作業で事業者に求められる主な対応
- 熱中症のおそれがある人を報告する体制を整える
- 作業からの離脱・身体冷却等の対応手順を定める
- 必要に応じた医師の診察・処置につなげる
- 緊急連絡網・搬送先等をあらかじめ確認する
- 報告体制と対応手順を関係作業者へ周知する
介護現場でも、 「利用者には水分を勧めているが、 職員自身は休めていない」 という状態では十分な予防とはいえません。
WBGT、休憩、勤務配置、交代要員、報告体制を含めて、 組織として暑熱環境を管理する必要があります。
2025年5~9月は100,510人|過去5年間の救急搬送推移
消防庁が公表した確定値では、 2025年5月から9月までの全国の熱中症救急搬送人員は 100,510人でした。
これは消防庁が2008年に調査を開始して以降で、 最も多い搬送人員です。
| 年 | 5~9月の救急搬送人員 |
|---|---|
| 2021年 | 47,877人 |
| 2022年 | 71,029人 |
| 2023年 | 91,467人 |
| 2024年 | 97,578人 |
| 2025年 | 100,510人 |
2021~2025年は消防庁の5月~9月の確定値です。
搬送人員の増減には、 気温だけでなく、 湿度、日射、暑い日の継続、 夜間の暑さ、 暑さへの慣れ、 人口構成、 冷房利用、 仕事や学校での活動状況など、 さまざまな要因が関係します。
「暑い年だったからすべて説明できる」と単純化せず、 その日の暑さ指数と、 その人の状態・生活環境を見ることが重要です。
家庭・学校・職場で、予防を「本人任せ」にしない
家庭・生活の場
- 室内の温度や暑さ指数を確認する
- 必要に応じてエアコンを適切に使用する
- のどが渇く前から水分を確保する
- 夜間も暑さが残る日は就寝環境を確認する
- 高齢者など暑さに気づきにくい人は周囲も確認する
学校・保育・スポーツ
子ども自身の訴えだけに頼らず、 WBGTを確認し、 必要な場合には活動内容の変更・短縮・中止を判断します。
「水分を取ってよい」と伝えるだけではなく、 実際に全員が休憩・水分補給できる時間と環境をつくることが重要です。
職場
職場では、 WBGTの把握、 暑熱順化、 休憩場所、 水分・塩分摂取、 作業中の巡視、 早期発見と報告体制、 緊急時の対応手順などを組織的に整えます。
熱中症についてよくある質問
熱中症は気温何度から起こりますか?
「この気温より低ければ安全」という一律の基準はありません。 気温だけでなく、湿度、日射・輻射熱、風、活動量、服装、 本人の体調などが関係します。 暑さ指数(WBGT)も併せて確認してください。
室内でも熱中症になりますか?
なります。 厚生労働省も、室内で何もしていない場合でも 熱中症が発生することがあると注意を呼びかけています。 2026年8月3日~9日の消防庁速報では、 発生場所のうち住居が42.5%で最多でした。
夜間でも熱中症になりますか?
なります。 環境省は、夜間でもWBGTが高い場合には、 特に高齢者を中心として 室内熱中症の危険が高くなると注意しています。 就寝時も室温や暑さに注意してください。
どのような場合に救急車を呼びますか?
厚生労働省は、 自力で水が飲めない、 意識がない場合には、 すぐ救急車を呼ぶよう案内しています。 緊急性がある場合は119番してください。
経口補水液はたくさん飲ませた方がよいですか?
一時に大量に飲むことで、 ナトリウムを過剰に摂取する可能性があります。 また、腎臓・心臓等の疾患で 水分摂取について医師から指示されている人は、 その指示に従ってください。
高齢者がエアコンを使いたがらないときは?
一方的に説得するだけでなく、 寒く感じる、電気代が心配、操作が難しいなど、 使いたくない理由を確認します。 設定や風向きの調整、操作支援、 家族・支援者による見守りなど、 本人が受け入れやすい方法を一緒に考えることが大切です。
熱中症予防を「本人の自己責任」にしない
「水分を取りましょう」 「エアコンを使いましょう」 という情報を知っていても、 その行動を実際に選べるとは限りません。
エアコンの操作が難しい。 電気代が心配で使えない。 トイレの回数を減らしたくて水分を控えている。 職場で休憩を申し出にくい。 認知症や障害などによって 不調をうまく伝えられない。
こうした生活上・経済上・関係上の事情が、 熱中症のリスクと重なることがあります。
「安全な行動を実際に選べる環境になっているか」 を考えることです。
本人の意思を尊重することと、 安全への働きかけは、 どちらか一方を選ぶことではありません。
本人が何を心配しているのか。 なぜその行動を選んでいるのか。 どうすれば本人が受け入れられる形で 暑さを避けられるのか。
その人を責めるのではなく、 環境と支援の側を整える。
統計を知って終わるのではなく、 「今日関わる人の暮らしでは何を確認できるか」へつなげること。
福祉教育ラボでは、 それも熱中症予防の大切な一部だと考えます。
一次資料・参考資料
-
総務省消防庁
「熱中症情報」
2026年の最新搬送情報を確認する -
総務省消防庁
「全国の熱中症による救急搬送状況
令和8年8月3日~8月9日(速報値)」
最新週報(PDF)を確認する -
総務省消防庁
「令和7年(5月~9月)の熱中症による救急搬送状況」
2025年確定値(PDF)を確認する -
厚生労働省
「熱中症が疑われる人を見かけたら 応急処置」
症状・応急処置を確認する -
厚生労働省
「熱中症予防のために」
熱中症予防情報を確認する -
環境省
「暑さ指数(WBGT)について」
WBGTの基準を確認する -
環境省
「熱中症リスクカレンダー」
夜間・室内の注意点を確認する -
日本救急医学会
「熱中症診療ガイドライン2024」
ガイドライン(PDF)を確認する -
厚生労働省
「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」
職場の熱中症対策を確認する -
厚生労働省
「労働安全衛生規則の一部を改正する省令の施行等について」
職場の熱中症対策強化(PDF)を確認する
記事内容は2026年8月18日時点の公表情報に基づいています。


