夜間対応型訪問介護は2026年度末で廃止いつまで利用できる?経過措置と定期巡回への統合を解説
夜間対応型訪問介護は2026年度末で廃止
いつまで利用できる?経過措置と定期巡回への統合を解説
夜間対応型訪問介護は、 2027年4月1日の改正法施行により制度上廃止され、 定期巡回・随時対応型訪問介護看護へ統合されます。 ただし、現在利用している人が 2027年4月から一斉にサービスを利用できなくなるわけではありません。
2026年8月27日更新夜間対応型訪問介護は2027年4月1日に制度上廃止されます。 一方、施行時点で指定を受けて事業を行っている事業所には 3年間の経過措置が設けられ、 2029年度末(2030年3月31日)まで 旧制度の規定に基づいて夜間対応型訪問介護を継続できます。 ただし、各事業所が必ず2030年3月31日まで 事業を続けるという意味ではありません。
4月1日
随時対応型
継続可能
- 夜間対応型訪問介護を制度上廃止
- 2027年4月1日施行
- 定期巡回・随時対応型訪問介護看護へ統合
- 既存事業所に3年間の経過措置
- 2029年度末まで旧制度の規定による事業継続が可能
- 定期巡回への円滑な移行方法
- 定期巡回の「夜間対応型区分」の今後
- 移行時の利用者・事業者への影響への対応
- 夜間を含む随時対応機能を地域でどう安定的に確保するか
夜中にトイレへ行こうとして、立ち上がれなくなった。 ベッドから転落した。 急に介助が必要になった。
一人暮らしや高齢者だけの世帯では、 「夜に何かあったとき、誰につながることができるのか」 が、在宅生活を続ける安心に関わります。
その夜間の生活を支えてきた介護保険サービスの一つが、 「夜間対応型訪問介護」 です。
2026年6月25日に 「社会福祉法等の一部を改正する法律」 (令和8年法律第51号)が公布されました。 同法は原則として2027年4月1日に施行され、 夜間対応型訪問介護は廃止されます。 [1] [2]
夜間対応型訪問介護はいつ廃止?いつまで利用できる?
制度上の夜間対応型訪問介護は、 2026年度末をもって廃止され、 2027年4月1日から 定期巡回・随時対応型訪問介護看護へ統合されます。
夜間対応型訪問介護という 独立した地域密着型サービスが存在します。
夜間対応型訪問介護を廃止し、 定期巡回・随時対応型訪問介護看護へ統合します。
施行時点で指定を受けている事業者は、 2029年度末まで旧制度の規定に基づき 事業を継続できます。
改正法の附則では、 施行時点で夜間対応型訪問介護の指定を受けて 事業を行っている者について、 旧介護保険法等の規定が 施行日から3年間なお効力を持つとされています。 [2]
厚生労働省も2026年8月5日の介護給付費分科会資料で、 「令和11年度末まで(第10期計画期間中)は経過措置として、 従前どおりの実施が可能」と整理しています。 [4]
2027年4月以降、現在の利用者はどうなる?
現在、夜間対応型訪問介護を利用している人にとって、 最も気になるのは 「廃止後も夜間の支援を受けられるのか」 という点でしょう。
結論からいえば、 2027年4月1日になった時点で、 現在の利用者が一斉に夜間対応型訪問介護を 利用できなくなるわけではありません。
施行時点で指定を受けている事業所には 3年間の経過措置があります。 そのため、事業所が夜間対応型訪問介護を継続する場合には、 旧制度の規定に基づいてサービス提供を続けることができます。 [2]
一方で、 「経過措置があること」と 「現在利用している事業所が2029年度末まで必ず継続すること」は 同じではありません。
現在利用している人・家族が確認したいこと
制度上の統合先は 「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」です。
ただし、 地域のサービス整備状況や 現在利用している事業所の移行方針によって、 実際の支援の引き継ぎ方は異なります。
「制度がいつなくなるのか」だけでなく、 「自分が利用している支援を、誰がどのように引き継ぐのか」 を確認することが重要です。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護へ統合|何が変わる?
夜間対応型訪問介護とは
夜間対応型訪問介護は、 2006年度に創設された地域密着型サービスです。
夜間に利用者宅を定期的に訪問する 「定期巡回」と、 利用者からの通報を受けて対応する 「オペレーションセンターサービス」、 必要に応じて自宅へ訪問する 「随時訪問サービス」などによって、 自宅で暮らす要介護者を支えてきました。 [4]
定期巡回・随時対応型訪問介護看護とは
統合先となる 「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」 は2012年度に創設されました。
日中・夜間を通じて、 定期巡回、随時対応、随時訪問を行い、 訪問看護を一体的に提供する、 または訪問看護事業所と連携しながら、 24時間の在宅生活を支えるサービスです。 [4]
夜間対応型訪問介護と定期巡回の違い
- 2006年度創設
- 夜間を中心に提供
- 定期巡回
- 通報への随時対応
- 必要に応じた随時訪問
訪問介護看護
- 2012年度創設
- 日中・夜間を通じて提供
- 定期巡回
- 随時対応・随時訪問
- 訪問看護を一体的に提供、または密接に連携
今回の制度改正は、
「夜を中心に支えるサービス」を、 「日中・夜間を通じて在宅生活を支える仕組み」へ 統合していくもの
と整理できます。
なぜ夜間対応型訪問介護は廃止・統合されるのか
国が示している理由は、 単に「利用者が少ないから」だけではありません。
2025年12月に社会保障審議会介護保険部会がまとめた 「介護保険制度の見直しに関する意見」では、 両サービスの機能や役割の重なりを踏まえ、 次のような点から統合が適当と整理されています。 [3]
夜間対応型訪問介護と定期巡回は、 定期的な訪問と通報への随時対応という 共通する機能を持っています。
夜間対応型の利用者の多くは 日中の訪問介護も利用しており、 同一事業所による24時間の一体的支援は 利用者にとって効果的と考えられています。
厚生労働省資料では、 夜間対応型事業所の83.4%が 定期巡回サービスの指定も受けている 調査結果が示されています。
サービスを統合することで、 指定手続きや介護報酬請求事務の効率化、 限られた地域資源の有効活用につながるとされています。
また、令和6年度介護報酬改定では、 定期巡回・随時対応型訪問介護看護に 夜間対応型の利用形態を想定した新たな区分が設けられました。
介護保険部会は、 その運用によって利用者に不利益は生じていないと 考えられることも、 統合を適当とする理由の一つに挙げています。 [3]
廃止後の受け皿は大丈夫?データから移行状況を見る
制度としての統合は決まりました。
では、 現在利用している人の支援は 実際にどこへ引き継がれるのでしょうか。
厚生労働省の資料から、 現在の利用規模と移行見込みを確認します。 [4]
現在どれくらい利用されている?
第262回介護給付費分科会資料では、 令和6年度の介護保険給付データ等をもとに、 両サービスの規模が整理されています。 [4]
受給者 約4万7,100人
受給者 約7,100人
夜間対応型訪問介護の請求事業所数は 2015年度以降ほぼ横ばいで、 受給者数は2022年度以降微減しています。 一方、費用額は概ね増加傾向にあると整理されています。 [4]
ただし、 「事業所数が少ない」ことだけをもって、 サービスの必要性が低いと判断することはできません。
事業所の50.0%は「定期巡回として継続」を見込む
令和6年度老人保健健康増進等事業の調査では、 夜間対応型訪問介護56事業所について、 統合後のサービス提供見込みが調べられています。
事業所ベースでは、 「自事業所が定期巡回サービス事業所として 引き続き提供する見込み」が 50.0%で最も多く、 「未定・検討中」は23.2%でした。 [4]
利用者ベースでは40.7%が「未定・検討中」
現在の利用者479人について見ると、 「現在の事業所が定期巡回事業所となって 引き続き提供する見込み」が43.6%、 「未定・検討中」が40.7%でした。 [4]
50.0%と43.6%は、分母が違います
50.0%
23.2%
43.6%
40.7%
要介護5では48.6%が「未定・検討中」
利用者の要介護度別に見ると、 要介護度が高くなるほど、 現在の事業所が定期巡回事業所として 引き続き提供する見込みの割合が 低くなる傾向が示されています。 [4]
この調査結果だけから、 「重度者のサービスがなくなる」と 結論づけることはできません。
ただし、 要介護5の現在の利用者105人について、 48.6%が「未定・検討中」 とされていることは、 重度の利用者ほど移行期の支援調整を 丁寧に考える必要があることを示しています。
制度としての統合が決まったことと、 一人ひとりの利用者の支援先が決まったことは、 同じではありません。
夜間対応型訪問介護が支えてきたのは「訪問」だけではない
夜間対応型訪問介護の利用者では、 要介護3~5が64.3%を占めています。 [4]
さらに、 76.5%の利用者は基本部分である 「オペレーションサービスのみ」を算定しており、 月に一度も訪問サービスを受けていない利用者が多いと 厚生労働省資料は整理しています。 [4]
利用者のうち要介護3~5が占める割合
基本分(オペレーションサービス)のみを利用
この数字は重要です。
夜間対応型訪問介護が支えてきたものは、 「毎晩、介護職が自宅へ訪問すること」だけではありません。
何かあったときに通報できる。
状況を判断してもらえる。
必要であれば訪問支援につながる。
「夜でも、つながっている」
その状態そのものが、 一人暮らしや高齢者世帯の 在宅生活の安心につながっている場合があります。
だからこそ制度統合を見るときも、 「訪問が何回あったか」だけでは、 夜間対応型訪問介護が果たしてきた役割を 捉えきれません。
2029年度末までの経過措置|事業者・ケアマネが確認したいこと
夜間対応型訪問介護というサービス類型は 2027年4月1日に制度上廃止されますが、 施行時点で指定を受けている事業所については、 2029年度末まで旧制度の規定に基づいて 夜間対応型訪問介護を継続できる 経過措置が設けられています。 [2] [4]
この3年間は、 単に廃止を先送りする期間ではありません。
現在支援を受けている人が、 次の支援へ途切れることなく移行するための期間として 捉える必要があります。
事業者・ケアマネジャーが確認したいこと
厚生労働省は、 定期巡回・随時対応型訪問介護看護が 夜間対応型訪問介護利用者の受け皿となっていくことを 想定しています。
一方で、 2026年8月5日の介護給付費分科会では、 定期巡回に設けられている 「夜間対応型区分」の在り方を含め、 円滑な移行のための対応を 2027年度介護報酬改定に向けて検討することが 論点とされています。 [4]
「制度上の統合が決まったこと」と、 「利用者一人ひとりの次の支援が決まったこと」は 同じではありません。
夜間対応型訪問介護の廃止について、よくある質問
夜間対応型訪問介護はいつ廃止されますか?
2027年4月1日に制度上廃止され、 定期巡回・随時対応型訪問介護看護へ統合されます。 2026年度末、つまり2027年3月31日までが 現行制度の期間です。
2027年4月から夜間対応型訪問介護は利用できなくなりますか?
一斉に利用できなくなるわけではありません。 施行時点で指定を受けている事業所には 3年間の経過措置があり、 旧制度の規定に基づいて 2029年度末まで事業を継続できます。
ただし、 各事業所が必ず2029年度末まで継続するとは限りません。 現在利用している事業所や担当ケアマネジャーへ、 今後の方針を確認する必要があります。
夜間対応型訪問介護の経過措置はいつまでですか?
2029年度末、 つまり2030年3月31日までです。 改正法では施行日から3年間、 旧介護保険法等の規定がなお効力を持つ 経過措置が設けられています。
夜間対応型訪問介護の代わりになるサービスは何ですか?
制度上の統合先は 「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」です。 日中・夜間を通じて 定期巡回や随時対応・随時訪問を行い、 訪問看護を一体的に提供する、 または訪問看護事業所と連携しながら 在宅生活を支えるサービスです。
夜間対応型訪問介護と定期巡回の違いは何ですか?
夜間対応型訪問介護は、 主として夜間の定期巡回と 通報への随時対応・随時訪問を行います。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護は、 日中と夜間を通じてサービスを提供し、 訪問介護だけでなく訪問看護も一体的に提供、 または密接に連携して支える点が大きな違いです。
福祉教育ラボの視点|「夜の安心を誰が引き継ぐのか」
今回の制度改正を、
「夜間対応型訪問介護がなくなる」
という一文だけで捉えると、 本質を見失う可能性があります。
制度としては、 定期巡回・随時対応型訪問介護看護へ統合することで、 日中と夜間を通じた在宅支援を より一体的に提供する方向が示されています。
しかし現在、 夜間対応型訪問介護によって 自宅での生活を支えられている人がいます。
制度の名称が変わっても、
夜中に困ったときに相談できる。
必要なときに支援につながる。
そして、自宅で暮らし続けられる。
その機能まで失われてはいけません。
今回の制度改正で本当に問われているのは、
「夜間対応型訪問介護というサービスをどう終わらせるか」
だけではなく、
「これまで支えてきた夜の安心を、
地域の中でどう引き継ぐのか」
ということなのだと思います。
一次資料・公式情報
本記事は、 2026年8月27日時点で確認できる 厚生労働省・国会の一次資料をもとに整理しています。
- 厚生労働省 「社会福祉法等の一部を改正する法律の公布について」 2026年6月25日付通知。 改正法が令和8年法律第51号として公布されたこと、 改正内容等を確認する一次資料です。 公布通知を確認する
- 社会福祉法等の一部を改正する法律|経過措置 施行日は2027年4月1日。 施行時に指定を受けて夜間対応型訪問介護を行う事業者について、 旧介護保険法等の規定が施行日から3年間 なお効力を持つことを確認できます。 改正法の条文・経過措置を確認する
- 社会保障審議会介護保険部会 「介護保険制度の見直しに関する意見」 両サービスの機能の類似・重複、 日中・夜間を一体的に支える意義、 8割以上の事業者が定期巡回も運営していること、 指定・請求事務の効率化など、 廃止・統合の政策的な理由を確認できます。 介護保険部会の意見を確認する
- 厚生労働省 第262回社会保障審議会介護給付費分科会 (2026年8月5日) 資料1 「定期巡回・随時対応型訪問介護看護及び夜間対応型訪問介護」。 184事業所・約7,100人、 事業所・利用者別の移行見込み、 要介護度別の数字、 64.3%・76.5%などの利用実態、 経過措置と今後の検討論点の主な根拠資料です。 第262回分科会の資料一覧を確認する / 資料1(PDF)を確認する
注2:夜間対応型訪問介護の廃止・3年間の経過措置は決定していますが、 定期巡回への具体的な移行対応や 「夜間対応型区分」の在り方などは、 2027年度介護報酬改定に向けて引き続き検討されています。 今後、新たな省令・告示・通知等が公表された場合は、 内容を更新する必要があります。


