ケアマネ更新制廃止は2027年12月施行方針|初任42時間以上など研修見直し案

福祉ニュース|審議中(更新制廃止の法改正は成立・未施行)
資料公表:2026年10月26日/確認:2026年10月27日

最初に結論|廃止は法制化済み、今回示されたのは研修の具体案

厚生労働省は2026年10月26日、第137回社会保障審議会介護保険部会に、介護支援専門員の法定研修の見直し状況を報告しました。更新制廃止に関する改正の施行日を2027年12月1日とする方針と、初任研修42時間以上、復職支援研修15.5時間以上などの新しい研修体系が示されています。

更新制の廃止そのものは、2026年6月19日に成立し、6月25日に公布された「社会福祉法等の一部を改正する法律」(令和8年法律第51号)に盛り込まれています。一方、今回の研修時間、受講方法、届出、移行時の取扱いは、具体化に向けて示された案です。本稿は2026年10月27日時点の公表資料に基づき、その違いを整理します。

区分は【審議中】です。ただし、更新制廃止まで未決定という意味ではありません。法律は成立・公布済みで、対象部分は未施行です。法律上の施行期日は「公布の日から起算して1年6月を超えない範囲内において政令で定める日」とされています。2027年12月1日という日付は今回の資料で示された施行方針として扱い、施行期日を定める政令の公布を確認したとの意味では用いていません。

  • 更新制の廃止後も、実務に従事するケアマネジャーには研修の受講が求められます。
  • 初任・定期・主任定期・復職支援の各研修に再編し、分割受講やオンライン受講を進める案です。
  • 施行前の更新手続や、施行時点ですでに失効した証の取扱いは、別に確認する必要があります。

研修はどう変わる?|新しい体系の比較

資料3の比較表では、研修を次のように再編する案が示されました。表の時間数は最低時間数です。「初任研修42時間」は資格取得に必要な研修全体を42時間にするという意味ではありません。試験合格後の実務研修87時間以上と、主任介護支援専門員研修70時間以上は、今回の整理では従前から変更しないとされています。

初任研修は、就業後6か月以上3年以内に受講し、その間に分割できる案です。就業後初めて研修を受ける場合は、最初の5年間に初任研修と定期研修の両方を受講する構成で、その後は5年間ごとに定期研修を受講するイメージが示されています。離職等の期間は算定から除きます。

主任定期研修は、主任研修修了日から5年を一区切りとし、最初の5年間は受講不要とする案です。一般のケアマネジャーの就業開始日を起点とする説明を、そのまま主任研修に当てはめないことが大切です。(資料3・印刷9〜10、14ページ/PDF10〜11、15ページ)

表は左右にスクロールできます。

研修体系の見直し案(資料3・印刷10ページより作成)。
現行の研修見直し後の名称(案)時間数(案)
専門研修Ⅰ(56時間以上)介護支援専門員初任研修42時間以上
専門研修Ⅱ(32時間以上)・更新研修(実務経験者)介護支援専門員定期研修32時間以上
主任介護支援専門員更新研修(46時間以上)主任介護支援専門員定期研修46時間以上
再研修・更新研修(実務未経験者)(54時間以上)介護支援専門員復職支援研修15.5時間以上

分割受講と共通教材|学ぶ時間を組み立てやすくする

受講方法は、一定期間のなかで希望に応じて分割できる仕組みとし、基本的にオンライン・オンデマンド形式にする方針です。講義部分には、国が作成する動画やスライドを使用することを必須とする案が示されました。

国の研修資材は2027年4月から都道府県で使用可能とする予定です。これは更新制廃止の施行方針である2027年12月1日とは別の時期です。演習は引き続き都道府県が教材作成等を含めて実施し、国も実施マニュアルを作成するため、「すべての研修がいつでも一人で動画を見る方式になる」とまでは読み取れません。(資料3・印刷5〜6ページ/PDF6〜7ページ)

復職支援研修15.5時間以上|対象と手続を確認

復職支援研修は、離職後に変わった制度等を学び直し、実務へ戻るための研修として設ける案です。主な対象は、直近の退職日から3年以上経過して再就労を希望する人、登録後に実務経験がないまま3年以上経過して就労を希望する人、すでに介護支援専門員証が失効していて就労を希望する人です。

資料のフロー図では、復職支援研修を修了した後に就業を開始する流れが示されています。一方、施行前に離職して3年を経過していない人や、離職後3年以上経過していても定期研修または主任定期研修を継続して受講している人は、対象外とする整理があります。個人の受講要否は、離職期間と研修歴を合わせて確認する必要があります。

また、施行時点ですでに失効した証は、施行後も失効したものとして扱い、改めて申請することで再交付が可能になるとの説明があります。更新制が廃止されれば、失効した証で直ちに働き始められるという説明にはなっていません。(資料3・印刷10、14〜15ページ/PDF11、15〜16ページ)

事業者にも受講機会の確保|届出は事業者が提出する案

改正法では、ケアマネジャー本人の研修に加え、事業者が受講機会を確保するために必要な措置を講ずる義務を位置づけています。今回の資料では、勤務時間中の研修受講時間を労働時間として扱うことや、業務配分・人員配置の調整などを具体的な措置として想定しています。

受講対象者を把握するため、ケアマネジャーを雇用する事業者が「従事届」「非従事届」(いずれも仮称)を都道府県に提出する案も示されました。従事させた日や退職等が発生した日から10日以内とする案です。ケアマネジャー本人が一律に提出する届出とは説明されていません。

非従事届は退職だけでなく、育児・介護等の家庭の事情、病気休職、災害等により一定期間の受講が難しい場合も想定しています。届出様式や受付方法、受講管理システムなどの具体的な運用は、今後の規定と都道府県の案内を確認する必要があります。(資料3・印刷7〜8ページ/PDF8〜9ページ)

研修未修了でも直ちに業務停止にはならない|受講義務は続く

更新制廃止後は、研修受講期間内に修了していないことだけをもって、直ちに業務停止になる取扱いではなくなります。ただし、研修を受けなくてよいということではありません。

改正法では、正当な理由なく研修を受けていない介護支援専門員に都道府県知事が受講を命じ、従わない場合は1年以内の期間を定めて業務を禁止できる規定が設けられました。資料3は、これを事業者への段階的な措置と組み合わせて運用する流れを示しています。まず都道府県が事業者による受講機会の確保状況を確認し、措置が不十分な事業者には要請、勧告、公表、命令等を段階的に行います。事業者が必要な措置を講じているのに本人が受講しない場合に、本人への受講命令へ進むというイメージです。

研修を受けられなかった事情や、職場が受講時間を確保していたかも含めて確認する仕組みとして読む必要があります。本人だけに「必ず受けておいて」と伝えるだけでは、事業者に求められる対応を満たせません。(資料3・印刷8ページ/PDF9ページ)

施行前後の確認事項|現在の更新を自己判断で見送らない

施行時にすでにケアマネジャーである人は、施行日を起点とし、最初の研修受講期間を2033年3月までとする案が示されています。また、施行年度である2027年度に旧制度の専門研修Ⅱ・更新研修・主任更新研修を修了した人は、2030年3月末まで受講を免除する案です。いずれも移行時の案として扱い、対象研修や修了時期を都道府県の正式な案内で確認してください。(資料3・印刷11ページ/PDF12ページ)

今回の施行方針の公表によって、現在の専門員証の有効期限や施行前の更新手続がなくなったわけではありません。更新期限が近い人は、研修を自己判断で取りやめず、証の有効期限、研修修了日、就業・離職の期間を整理して、登録先の都道府県等へ確認することが大切です。

  • 本人:専門員証の有効期限、過去の研修名・修了日、就業・離職・休職の期間を確認する。
  • 事業所:受講時間、担当業務の引継ぎ、代替配置、受講状況の把握方法を整理する。
  • 今後:施行期日を定める政令、研修内容を定める省令・告示・通知、都道府県の募集案内を確認する。

福祉教育ラボの視点|学び続けられる条件を、職場とともにつくる

ここからは、資料を踏まえた福祉教育ラボの考え方です。ケアマネジャーの学びは、制度の知識を覚えることだけにとどまりません。本人や家族の話をどう聴くか、希望と安全の間で何を確かめるか、地域の支援者とどう関係をつくるか。日々の実践を振り返り、別の見方を得る機会でもあります。

その学びを、忙しい仕事の合間や本人の休日だけに押し込めれば、学んだことを支援へ戻す余裕も失われます。分割受講や共通教材の整備に加え、勤務の調整、落ち着いて受講できる環境、職場で対話する時間がどこまで確保されるかを見ていきたいと思います。

負担を減らしながら、専門性を育て続ける。その両方を支える仕組みが、ケアマネジャー自身の働き続けやすさと、利用者・家族が安心して相談できる関係につながるのではないでしょうか。

一次資料

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