2027年度障害福祉報酬改定|強度行動障害への支援で検討される3つの論点

審議中・未決定|2026年11月4日確認

強度行動障害の状態にある人への支援を、専門人材との連携と継続性の面からどう支えるか。2026年10月30日の厚生労働省・第67回障害福祉報酬改定検討チームでは、2027年度改定に向けた3つの論点が示されました。いずれも審議中の検討方向であり、新しい単位数や算定要件が決まったわけではありません。

この記事は、厚労省が訂正反映済みとして掲載する資料と「資料の一部訂正について」を確認し、第67回の具体案に絞って整理しています。(2026年11月4日確認)

今回の3論点を先に整理します

現行制度・課題と検討方向
論点現行制度・課題今回の検討方向
専門人材の支援訪問と遠隔の手間・費用の違いが一律評価支援形態と専門性を踏まえた単価設定
状態・特性に応じた評価初期評価後も高度な支援が必要な人や、区分では捉えきれない支援負担がある支援経過に応じた段階的評価や対象の見直し
集中的支援の促進受入体制・人材が不足し、担い手が限られる評価を充実し、障害者支援施設の短期入所も活用

表の右列は決定事項ではありません。また、論点1は生活介護や就労系、障害児支援なども対象としますが、論点2は施設入所支援・共同生活援助、論点3は短期入所・施設入所支援・共同生活援助が対象です。[資料・印刷140、143、148〜154頁]

現行の加算は何を評価しているのでしょうか

強度行動障害は、特別に配慮された支援が必要になっている状態を指します。見える行動だけで判断せず、本人の特性と環境の関係をアセスメントし、環境を調整することが標準的な支援です。[141〜142頁]

現行の「重度障害者支援加算」は、対象者への支援と研修修了者の配置などを評価します。例えば共同生活援助では、対象者などの要件を満たす場合、(Ⅰ)は360単位/日、(Ⅱ)は180単位/日です。算定開始から180日以内は、それぞれ500単位/日、400単位/日の初期の上乗せがあります。点数だけで算定できる制度ではなく、障害支援区分や職員配置、支援計画などの要件もあります。[150頁]

一方、「集中的支援加算」は、状態が悪化して生活の維持が難しくなった人への専門的な支援を評価する仕組みです。他の事業所から受け入れて集中的に支援する現行の(Ⅱ)は、3月以内の期間、1日500単位の加算です。重度障害者支援加算の初期上乗せとは別の制度です。[153、156〜157頁]

論点1|訪問・遠隔と専門性をどう評価するか

現行の集中的支援加算では、広域的支援人材による訪問と遠隔支援が、手間や費用の違いにかかわらず一律に評価されています。派遣元への謝金の原資となる報酬水準も、高度な専門性への対価として十分ではないとの意見が示されています。

検討方向は、専門性をより適切に評価するとともに、訪問と遠隔の違いに応じた単価を設定することです。本人の過ごす物理的な環境を直接確かめられる訪問支援を進める狙いがあります。具体的な単位数は示されていません。[143頁]

論点2|180日後も続く支援と、区分だけでは見えない必要性

施設入所支援・共同生活援助では、初期上乗せの対象期間を超えても、高度な支援が必要な人がいます。資料は、180日後も一定の評価を行い、支援経過に応じた段階的な報酬設定にすることを検討方向として示しました。掲載図の高さや段階はイメージです。

共同生活援助では、障害支援区分3以下でも行動関連項目の合計が10点以上の場合を重度障害者支援加算の対象にするなど、行動面の支援の必要性を捉える方策も検討されています。対象拡大が決まったという意味ではありません。[148〜150頁]

180日は初期の報酬評価に関わる区切りであり、本人に必要な支援が終了する期限ではありません。資料も、初期だけでなく継続的な支援が必要な実態を課題にしています。[148〜149頁]

論点3|集中的支援を地域で使える仕組みに

状態が悪化した人を受け入れる集中的支援加算(Ⅱ)の対象施設として、都道府県に選定されている施設は、資料では全国5施設にとどまります。選定要件、運営負担、専門人材の確保や受入体制に要する費用への評価が課題として挙げられています。

今回は、集中的支援の評価を充実し、一定の期間に限り、障害者支援施設が運営する短期入所を活用した支援が進むよう評価を見直す方向です。レスパイト機能の確保も論点に含まれます。[153〜154頁]

一時的に住まいを移す場合も、本人の意思決定支援を丁寧に行い、戻り先を決め、支援方法を引き継ぐことが資料に示されています。受入先だけで完結せず、元の事業所、相談支援、市町村、専門人材が連携する仕組みです。[155〜156頁]

何が未決定で、現場は何を確認すればよいでしょうか

訪問・遠隔別の新単価、180日後の評価額と段階、対象拡大の詳細、集中的支援の新たな評価要件は、今回の資料だけでは確定できません。2027年度から全事業所に一律に加算されると受け止めず、今後の改定内容や告示・通知を確認する必要があります。

現場では、現在の算定要件と届出を確認した上で、本人の困りごと、環境調整の内容、必要な支援量、専門人材への相談経路を整理しておくとよいでしょう。新制度の収入を前提にした計画は、確定情報を待って判断する必要があります。

FELの視点|評価期間を超えて、暮らしを支える

ここからはFEL編集部の考察です。報酬の見直しを考える際には、行動が目立たなくなったかだけでなく、本人が安心して過ごせる環境、意思を伝えられる方法、支援者が継続して関われる体制に目を向けることが大切です。

集中的支援で分かったことを日常の支援へ引き継ぎ、専門人材が事業所を支え、家族だけに負担を集中させない。3論点をつなぐのは、本人の尊厳を守り、希望する地域で暮らし続けられる可能性を広げるという視点です。

関連記事:強度行動障害の氷山モデル・アセスメント/指定都市による強度行動障害への支援拡充要請/2027年度障害福祉報酬改定の主要論点

検討される3つの論点。① 広域的支援人材:訪問・遠隔の違いと専門性を評価。② 状態・特性  ③ 集中的支援:② 支援経過に応じた評価 ③ 受入体制を支える評価。いずれも検討中。新しい単位数・要件は未決定です。出典:第67回資料 印刷143・149・154頁
検討される3つの論点(検討中・未決定)
本人の暮らしを中心につなぐ。本人の尊厳・意思決定支援:本人 ↔ 日常の事業所 ↔ 広域的支援人材。地域で連携し、支援を引き継ぐ:受入先・相談支援・市町村・家族と連携、環境調整と支援方法を、日常の暮らしへ。180日は初期の報酬評価の区切り。必要な支援の終了期限ではありません。出典:第67回資料 印刷148〜149・155〜156頁/FEL編集部図解
本人の暮らしを中心につなぐ(検討中・未決定)

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