認知症のシンボルカラーはなぜオレンジ?|意味・由来とオレンジリングを解説

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認知症の啓発や支援で、なぜ「オレンジ色」が使われるのでしょうか。柿右衛門の赤絵から、認知症サポーター、オレンジリング、チームオレンジ、認知症基本法、2026年の認知症サポーターPLUSまで、色の歴史から認知症支援の変化をたどります。

情報確認日:2026年10月6日

まず30秒で|なぜ認知症のシンボルカラーはオレンジなのか

認知症支援で使われるオレンジは、より正確には「柿色」に由来すると説明されています。

江戸時代の陶工・酒井田柿右衛門の赤絵磁器が日本からヨーロッパへ広がったことになぞらえ、 日本で始まった認知症サポーターの取り組みも世界へ広がってほしい という願いが込められたとされています。 [1]

そして、このオレンジは「認知症の人を区別する色」ではありません。 もともとオレンジリングを身につけたのは、認知症について学び、本人や家族を応援する社会の側でした。

色の由来 柿右衛門の「柿色」
キャラバン開始 2005年
サポーター数 1,721万人超

オレンジの原点とされる「柿色」

日本の認知症支援で使われてきたオレンジ色は、江戸時代の陶工・酒井田柿右衛門にまつわる「柿色」と結びつけて説明されています。

厚生労働省関連資料や自治体の公式資料では、柿右衛門の赤絵磁器が海外へ渡り世界的な評価を受けたことになぞらえ、 「日本で始まった認知症サポーターの取り組みも世界へ広まってほしい」 との願いから、柿色に近いオレンジがシンボルカラーとして使われるようになったと説明されています。 [1]

「温かさ」と「手助けします」の意味

公的な啓発資料では、オレンジについて、温かさを感じさせる色であり「手助けします」という意味を持つとも説明されています。

「夕日に映える柿」の話は、史実と由来を分けて考える

オレンジ色の由来を調べると、 「柿右衛門が夕日に映える柿の実を見て、その色から赤絵を思いついた」 という逸話を目にすることがあります。

実際、現在も複数の自治体が、認知症のシンボルカラーの由来としてこの物語を紹介しています。 [1]

「公的に語られている由来」と「陶磁器史上の史実」は分けて読む

認知症啓発で語られている象徴的な物語と、柿右衛門の陶磁器史として直接確認できる史実は、同じものではありません。

ただし、シンボルには史実だけではなく、社会がそこへ託してきた願いや意味も重なります。オレンジも、その一つと考えることができます。

2004年、「痴呆」から「認知症」へ

オレンジが認知症支援の象徴として広がり始める直前、日本では認知症をめぐる大きな転換がありました。

2004年12月、それまで行政などで使われていた「痴呆」という呼称が「認知症」へ変更されました。 [2]

これは単なる言葉の置き換えだけではありません。 認知症に対する誤解や偏見を見直し、社会全体で理解を深めていく動きとも結びついていました。

その翌年、2005年から「認知症サポーター100万人キャラバン」が始まります。

オレンジリングは「認知症の人につけるリング」ではない

認知症サポーターの象徴として広く知られるようになったのが、オレンジリングです。

ここで大切なのは、誰が身につけるものだったのかという点です。

オレンジリングは、認知症の人を見分けるための目印ではありません。

認知症サポーター養成講座を受講した側が、 「認知症について理解しています」 「認知症の人や家族を応援します」 という意思を示すものとして使われてきました。

厚生労働省は認知症サポーターについて、認知症を正しく理解し、認知症の人や家族を温かく見守る応援者と位置づけています。 [3]

オレンジは「本人を示す色」ではなく「社会の側の意思表示」

「あなたは認知症です」と示す色ではなく、「私は認知症について考え、本人や家族を応援します」という側が身につけた色だったことは、オレンジの意味を考えるうえで重要です。

オレンジリングは廃止されたの?

オレンジリングそのものが全面的に廃止されたわけではありません。

全国キャラバン・メイト連絡協議会によると、2021年4月以降は原則として、市町村・都道府県、企業・職域団体など、それぞれの講座実施主体が作成する認知症サポーターカードを渡す運用へ変化しました。 [4]

一方で、現在も従来どおりオレンジリングを配布している自治体や団体があります。

「廃止」より「運用方法が変化した」と考える方が正確

全国一律にオレンジリングを配布する方式から、それぞれの講座実施主体によるカード等を中心とした運用へ変わった、と整理すると分かりやすいでしょう。

認知症サポーターは1,721万人へ

2005年の取り組みは「100万人」の認知症サポーターを養成することを目標に始まりました。

2026年6月30日時点の認知症サポーター数 17,217,383人 全国キャラバン・メイト連絡協議会 公表値

2026年6月30日時点で、認知症サポーターは17,217,383人に達しています。 [5]

約1,721万人です。

学校、企業、地域、自治体など、さまざまな場所で「認知症について一度学んだ人」が増えてきました。

ただし、ここで次の問いが生まれます。

人数が増えれば、それだけで認知症のある人が暮らしやすい社会になったのでしょうか。

この問いから、認知症施策は次の段階へ進んでいきます。

「知る」から「地域で動く」へ|チームオレンジ

認知症サポーターを増やすだけでなく、学んだ人が地域の実際の活動につながる仕組みとして進められているのが「チームオレンジ」です。

厚生労働省は、本人や家族のニーズと、認知症サポーターなど地域の人をつなぐ仕組みとしてチームオレンジを位置づけています。 [6]

認知症サポーター 知る 認知症について学び、理解する。
ステップアップ 考える 地域で自分にできることを考える。
チームオレンジ つながる・動く 本人や家族のニーズと地域の活動をつなぐ。

たとえば、話し相手になる、外出を一緒にする、地域で見守る、本人のやりたいことを一緒に考えるなど、具体的な活動へつなげていきます。

ただし「支援する側・される側」で固定しない

チームオレンジについて考えるとき、さらに重要な変化があります。

それは、 「認知症の人のために何をしてあげるか」 だけではなく、 「本人と何を一緒につくるか」 という考え方です。

厚生労働省の資料でも、制度や仕組みに本人を当てはめるのではなく、本人の思いや願いを起点に本人とともにチームをつくることが重視されています。 [6]

  • 本人が地域住民を支える側になる
  • 本人が企画する
  • 本人が誰かの相談相手になる
  • 本人が地域の活動を一緒につくる

「認知症の人=支援される側」と最初から固定してしまえば、本人が持っている力や役割を見えなくしてしまう可能性があります。

2026年、「認知症サポーターPLUS」が始まった

2026年、認知症サポーター制度に新しい動きが加わりました。

「認知症サポーターPLUS講座」です。 対象となるのは、すでに認知症サポーター養成講座を受講した人です。 [7]

PLUS講座では認知症についてさらに知識を深め、自分自身や身近な人に認知症やMCI(軽度認知障害)の徴候がみられた場合に、状況を早く捉え、前向きに対応できることを目指しています。 [7]

さらに全国キャラバン・メイト連絡協議会は、2026年9月15日付で第2回「認知症サポーターPLUS講師研修」を案内し、10月13日のオンライン開催を予定しました。 [8]

PLUSとチームオレンジは同じものではありません

認知症サポーターPLUSは、認知症についてさらに深く「知る」ための講座です。

一方、チームオレンジは、本人や家族のニーズと地域の人や活動を「つなぐ」仕組みです。

2024年、認知症基本法が施行

認知症をめぐる社会の考え方は、法律でも大きく変化しています。

2024年1月1日、「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」が施行されました。 [9]

法律では、認知症の人が尊厳を保持しながら希望を持って暮らし、認知症の人を含めた国民一人ひとりが互いの人格と個性を尊重しながら共生する社会の実現が掲げられています。

「新しい認知症観」と本人参画へ

2024年12月に閣議決定された「認知症施策推進基本計画」では、「新しい認知症観」が明確に示されました。 [10]

新しい認知症観では、

  • 誰もが認知症になり得ること
  • 認知症になった後も、できることややりたいことがあること
  • 住み慣れた地域で、仲間とつながりながら暮らせること
  • 希望を持って自分らしく生活を続けられること

などが重視されています。

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9月21日は「認知症の日」|9月は「認知症月間」

認知症基本法では、9月21日を「認知症の日」、9月1日から30日までを「認知症月間」と定めています。 [9]

2026年度も厚生労働省は「認知症の日/認知症月間」に関する情報を公表しています。 [11]

この時期に全国各地で建物などがオレンジ色にライトアップされるのも、オレンジが認知症啓発のシンボルカラーとして使われているためです。

つまり2026年現在、オレンジは「昔のオレンジリングの色」だけではありません。

認知症の日、認知症月間、地域活動、チームオレンジなど、現在の認知症施策の中でも使われ続けています。

一本のオレンジ色から見る認知症支援の変化

17世紀 柿右衛門の赤絵が海を越える 日本で生まれた赤絵磁器が海外へ広がります。
2004年 「痴呆」から「認知症」へ 呼称変更を通じて、偏見や誤解を見直す動きが進みます。
2005年 認知症サポーター100万人キャラバン開始 オレンジが認知症理解の象徴として全国へ広がります。
オレンジリング 「認知症を応援する側」の意思表示へ 認知症の本人ではなく、学んだサポーター側が身につける色として広がりました。
2012年 WHO・ADIの国際報告書で日本の取り組みが紹介 WHOとAlzheimer's Disease Internationalによる報告書などで、日本の認知症サポーターの取り組みが国際的に紹介されました。 [12]
2013年 英国でDementia Friendsが始まる 英国Alzheimer's SocietyによるDementia Friendsの開発では、日本の認知症サポーター制度も重要な参考モデルの一つとなりました。 [13]
2021年 カード等を中心とした運用へ オレンジリングの全国一律配布から、講座実施主体によるカード等を中心とした運用へ変化します。
チームオレンジ 「知る」から「地域でつながり、動く」へ 本人や家族のニーズと地域の活動をつなぐ取組が進みます。
2024年 認知症基本法施行 共生社会、本人の尊厳、希望ある暮らしが法律上も明確になります。
2024年12月 認知症施策推進基本計画 「新しい認知症観」と本人参画の方向がさらに明確になります。
2026年 認知症サポーター1,721万人超・PLUS講座へ 「知る人を増やす」だけでなく、より深い理解と地域での実践へ取組が広がっています。

では、オレンジは誰のための色なのか

ここまで歴史をたどると、最初の問いに戻りたくなります。

オレンジは誰のための色なのでしょうか。

認知症の人のための色。 もちろん、その意味もあるでしょう。

しかし、それだけではありません。

オレンジリングを身につけたのは、認知症のある本人ではなく、認知症について学んだ社会の側でした。

オレンジは、社会の側が自分たちの認知症観を問い直す色とも考えられる

「認知症の人を示す色」ではなく、「私たちは認知症のある人とどう一緒に暮らすのか」を社会の側へ問い返す色。

そう捉えると、オレンジの意味は少し違って見えてきます。

福祉教育ラボの視点|「理解してあげる」で終わらない

認知症について学ぶことは大切です。

しかし、 「私たちは認知症について理解しました」 で終わってしまえば、まだ一方向です。

本人は何をしたいのか。

どんな生活を続けたいのか。

何は手伝ってほしいのか。

反対に、何は自分で続けたいのか。

どんな地域なら暮らしやすいのか。

それを本人抜きで決めてしまえば、 「本人のための支援」が、 「本人のいない支援」になることがあります。

認知症基本法や認知症施策推進基本計画が示している方向も、認知症の人を単なる支援の対象として見ることから離れようとしています。 [9]

誰かのためにつくるだけでなく、その人と一緒につくる

オレンジという一本の色の歴史は、日本社会の認知症観が「支援する対象」から「ともに社会をつくる人」へ変わろうとしている過程を映しているようにも見えます。

よくある質問

認知症のシンボルカラーはなぜオレンジなのですか?

江戸時代の陶工・酒井田柿右衛門の赤絵磁器が海外へ広がったことになぞらえ、日本で始まった認知症サポーターの取り組みも世界へ広がってほしいとの願いから、柿色に近いオレンジが選ばれたと説明されています。

オレンジリングは認知症の人がつけるものですか?

いいえ。オレンジリングは、認知症について学んだ認知症サポーター側が、本人や家族を応援する意思を示すものとして使われてきました。

オレンジリングは廃止されたのですか?

全面的に廃止されたわけではありません。2021年4月以降は原則として、それぞれの講座実施主体が作成する認知症サポーターカードを渡す方式へ変化しました。現在もオレンジリングを配布している地域や団体があります。

チームオレンジとは何ですか?

認知症の人や家族の生活上のニーズと、認知症サポーターなどを中心とする地域の人や活動をつなぐ仕組みです。

認知症サポーターPLUSとは何ですか?

2026年に新設された講座で、すでに認知症サポーターとなった人がさらに知識を深め、自分や身近な人の認知症やMCIの徴候を早く捉え、前向きに対応するための視点を学びます。

認知症の日はいつですか?

9月21日です。認知症基本法では、9月21日を「認知症の日」、9月1日から30日までを「認知症月間」と定めています。

オレンジプランとオレンジリングは同じものですか?

同じものではありません。オレンジリングは認知症サポーターの象徴として使われてきたものです。一方、オレンジプランは国の認知症施策に関する計画の通称です。

まとめ

オレンジの意味も、認知症支援とともに変化してきた

認知症のシンボルカラーがオレンジなのは、柿右衛門の赤絵磁器が海外へ広がった歴史になぞらえ、日本で始まった認知症サポーターの取り組みも世界へ広がってほしいという願いが込められたためと説明されています。

しかし、オレンジの意味は20年間ずっと同じだったわけではありません。

  • 認知症サポーター
  • オレンジリング
  • チームオレンジ
  • 認知症基本法
  • 新しい認知症観
  • 認知症サポーターPLUS

認知症サポーターは、2026年6月末で1,721万人を超えました。

次に問われるのは、「何人が認知症について学んだか」だけではなく、「その理解が本人の暮らしにどうつながっているか」なのかもしれません。

オレンジを目にしたとき、「認知症について知っています」だけではなく、「本人の声を聞いているだろうか」「本人と一緒に考えているだろうか」という問いまで思い出せる。そんな色として、これからのオレンジを見ていきたいと思います。

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学びの整理|新しい認知症観 認知症のある人の「一日」から考える、本人中心の暮らし 「支援される人」としてだけではなく、一人の生活者として認知症のある人を捉える視点を整理しています。
主な一次資料・公式情報
  1. 厚生労働省関連資料|認知症サポーター・オレンジ色の由来
  2. 千葉県|認知症サポーターキャラバンについて
  3. 厚生労働省|主な認知症施策・認知症サポーター等
  4. 全国キャラバン・メイト連絡協議会|認知症サポーターキャラバンについて
  5. 全国キャラバン・メイト連絡協議会|認知症サポーターの養成状況
  6. 厚生労働省|チームオレンジに関する資料
  7. 鳥取県|認知症サポーターPLUS講座 解説資料
  8. 全国キャラバン・メイト連絡協議会|第2回「認知症サポーターPLUS」講師研修案内
  9. 厚生労働省|共生社会の実現を推進するための認知症基本法
  10. 内閣官房|認知症施策推進基本計画
  11. 厚生労働省|2026年度 認知症の日・認知症月間
  12. WHO|Dementia: a public health priority(2012)
  13. Alzheimer's Disease International|Dementia friendly communities

本記事は2026年10月6日時点で確認できる公的資料・公式情報をもとに整理しています。歴史的な逸話については、公的な認知症啓発資料で説明されている「シンボルの由来」と、陶磁器史として直接確認できる史実を区別して記載しています。