2027年度介護報酬改定|定期巡回・小規模多機能・看多機・グループホームの見直し論点

福祉教育ラボ|福祉ニュース|2026年10月9日

在宅生活を支える地域密着型サービスはどう変わるのか。2027年度の介護報酬改定に向け、定期巡回・随時対応型訪問介護看護、小規模多機能型居宅介護、看護小規模多機能型居宅介護、認知症対応型共同生活介護の4サービスに注目します。人材不足、利用者の重度化、医療ニーズ、経営の安定性、地域格差が共通の背景です。本稿は第268回分科会までの資料と、2026年10月9日の第269回分科会で厚生労働省が示した資料に基づきます。資料に示された論点・対応案は審議のための提案であり、決定事項ではありません。分科会での審議結果や委員の発言は反映していません。

1.2027年度介護報酬改定の基本的な視点は5つ

第268回分科会で示された基本的な視点は次の5つです。

  1. 物価・賃金の上昇等への対応と処遇改善
  2. 人口減少・サービス需要の変化に応じたサービス提供体制の構築
  3. 地域包括ケアシステムの深化
  4. 職場環境の改善と生産性の向上を通じたサービスの質の向上及び介護人材の確保
  5. 制度の安定性・持続可能性の確保

物価・賃金への対応は、すべてのサービスの基本報酬の一律引上げを意味しません。人口減少地域では利用者や職員の確保が課題となります。また地域の人口構成や介護需要の変化を踏まえると、都市部でも供給体制の確保が重要になると考えられます。後者は本記事の考察です。

2.定期巡回・随時対応型訪問介護看護|24時間の在宅生活をどう支えるか

定期巡回は、日中・夜間の定期訪問と随時対応を組み合わせ、訪問介護と訪問看護を一体的または連携して提供します。排泄介助、服薬確認、夜間の状態確認など、生活状況に応じた支援を提供できます。

夜間対応型訪問介護との制度上の整理

2026年6月25日公布の「社会福祉法等の一部を改正する法律」(令和8年法律第51号)では、夜間対応型訪問介護の制度上の廃止が定められ、原則施行日は2027年4月1日です。施行時点の既存事業者には経過措置が設けられています。第269回分科会資料は、令和8年度末をもって廃止し、令和11年度末(2030年3月31日)までは従前どおりの実施が可能とする経過措置を示しています。成立した改正法の附則第1条・第13条では、2027年4月1日の施行と施行日から3年間の経過措置が定められています。対象事業者や申請中の事業者に関する取扱いは、附則・関係通知の確認が必要です。制度上の廃止は、利用者が施行日に一斉にサービスを使えなくなることを意味しません。

詳しくは夜間対応型訪問介護の廃止・統合と経過措置の解説をご覧ください。

24時間体制の維持

夜間の職員確保や随時対応体制の維持は運営上の課題です。事業所が存在しない市町村もあります。訪問移動やオペレーター確保の負担は地域・事業所ごとに異なり、一律には評価できません。今後は24時間対応の維持、訪問看護との連携、中重度者への支援、地域の供給体制に注目する必要があります。

第269回資料で示された論点

第269回資料は、請求事業所数を定期巡回1,397、夜間対応型184、受給者数を約47,100人と約7,100人としています。対応案として、定期巡回・随時対応型訪問介護看護(Ⅲ)について、24時間の通報・相談対応機能を確保し、日中の支援を実施する事業所の取組を新たに報酬上評価する案、地域の実情により新規開設時に利用者確保が困難な場合の訪問介護員等の配置基準の見直しが示されています。同一建物減算は現行制度にあり、その見直しについて具体案は示されていません。いずれも提案段階であり、決定事項ではありません。

3.小規模多機能型居宅介護|柔軟な支援と経営の安定性

小規模多機能は「通い」を中心に「訪問」「泊まり」を組み合わせるサービスです。同じ職員が継続的に関わり、本人の生活歴や状態を踏まえた支援ができます。状態変化や家族の事情に応じて支援を調整できる一方、人員や設備を維持する固定費が必要です。登録利用者が少なければ経営が不安定になり、重度化が進めば介護負担も増え得ます。

その価値は利用回数だけでは測れません。なじみの職員による継続支援や、通い・訪問・泊まりを柔軟に組み合わせる包括的機能をどう評価するかが重要です。

第269回資料で示された論点

第269回資料は、身寄りのない独居高齢者への生活支援や権利擁護、地域の多様な資源との連携の評価、要介護1・2の早期受入れの評価と基本サービス費のバランス、利用者数が急減した場合の配置(前年度平均値の解釈)、中山間・人口減少地域で区域外サービスを提供する事業所の評価を論点としています。また、訪問従事者の配置の在り方、同一建物等の居住者へのサービス提供と報酬も論点です。これらは主な論点であり、具体的な単位数の改定案は示されていません。

4.看護小規模多機能型居宅介護|医療と介護の一体的支援

看多機は通い・訪問・泊まりに訪問看護を組み合わせ、退院直後、医療的管理が必要な人、終末期の人などの在宅生活を支えます。第257回分科会資料によれば、全国1,741市町村のうち事業所がある市町村は3割未満で、事業所がない市町村は7割超です。利用者のうち要介護3以上は63.8%です。

看護職員の確保、医療ニーズへの対応、運営費用と地域偏在を踏まえ、中重度者への一体的支援をどう評価するかが注目されます。具体的な単位数や加算の変更は、今後の正式な審議結果を確認する必要があります。

第269回資料で示された論点

第269回資料は、機械浴に対応していない事業所での入浴サービスの評価(併算定可能なサービスの見直しや、利用者の状態像に応じた報酬の調整案)、訪問看護による残薬確認など服薬管理、同一建物等居住者へのサービス提供の在り方を論点としています。地域資源との連携、区域外サービス、利用者数の変動に応じた職員配置、専門性の高い看護師による地域の相談支援も論点です。ここで挙げたものは主な論点です。普及状況の数値(市町村数など)の更新は、確認できた範囲ではありません。

5.認知症グループホーム|専門性と医療連携

認知症グループホームは、認知症のある人が少人数の共同生活住居で暮らし、生活上の支援を受けるサービスです。利用者の重度化に伴い、医療連携や看取りが重要になっています。2024年度改定では協力医療機関連携゠算が設けられました。制度上の体制整備だけでなく、急変時の相談・診療や入院時の実際の連携が問われます。

2026年9月14日の第266回分科会における意見交換会では、日本認知症グループホーム協会が意見書を提出しました。同協会資料では認知症専門ケア加算の算定割合が(Ⅰ)18.6%、(Ⅱ)0.9%と示されています。これは団体提出資料の数値であり、分科会の決定ではありません。

研修のために職員を現場から離すには代替職員や勤務調整が必要です。小規模事業所では特に負担となる場合があります。研修を受けられる勤務体制と、学びをケアに生かせる環境づくりが重要です。今後は医療連携、重度化・看取り、専門性と研修負担、加算の実効性、経営の安定性が注目されます。

第269回資料で示された論点

第269回資料は、認知症の人の主体的な暮らしを支える地域づくりに資する取組(社会参加の支援など)の評価、人材確保が困難で経営状況が厳しい1ユニット事業所についてケアの質の確保を前提とした計画作成担当者の配置要件の見直しを対応案として示しています。また、利用者の安全確保を前提に、見守り機器等による継続的な状態把握と迅速な対応が可能な体制を要件として、同一階で隣接する2ユニットと別階の1ユニットを一体運営する場合や、同一階で隣接していない3ユニットの場合にも、夜間2人体制を認める案が示されています。令和7年11月審査分の事業所ベースの算定率は、協力医療機関連携加算(1)が37.5%、(2)が2.2%、認知症専門ケア加算(Ⅰ)が18.5%、(Ⅱ)が0.9%とされています。上記の協力医療機関連携加算・認知症専門ケア加算について、具体的な見直し案は示されていません。

関連記事:2027年度介護報酬改定|認知症ケアはどう変わる?

6.4つのサービスに共通する課題

各サービスの役割と注目点
サービス主な役割注目点
定期巡回24時間の在宅支援夜間対応との制度的整理、24時間体制
小規模多機能通い・訪問・泊まり柔軟性と経営安定性
看多機医療・介護の一体的支援中重度者、看護職員、地域偏在
認知症グループホーム認知症のある人の共同生活医療連携、看取り、専門人材

ICTや記録の効率化は職員負担の軽減につながり得ますが、関係形成や本人の意思の尊重は効率性だけで測れません。生産性向上は利用者との時間を一律に短縮することではなく、必要なケアに集中できる環境を整えることです。

また、制度上のサービスが存在しても地域に事業所がなければ利用できません。報酬は24時間対応、柔軟な支援、医療対応、専門性を支える一方、保険料・公費・利用者負担との均衡も必要です。

7.管理者・職員は何を確認すべきか

管理者は利用者の要介護度、認知症の状態、医療ニーズ、サービス利用状況、職員配置、研修受講、加算算定、協力医療機関との連携を整理しましょう。加算を算定できているかだけでなく、その評価対象の機能を実際に提供できているかが重要です。

現場職員も利用者の状態変化の把握、情報共有、本人の意思や希望の尊重を振り返ることができます。改定を単なる単位数変更ではなく、日々の支援の意味を考える機会にすることが大切です。

8.今後の審議で注目したいこと

  1. 第269回資料の対応案(新たな評価、配置基準の見直しなど)が、今後の審議でどう整理されるか
  2. 夜間対応型訪問介護の廃止に伴う定期巡回の運営・報酬上の取扱い
  3. 小規模多機能・看多機の包括的支援の評価
  4. 認知症グループホームの医療連携・専門的ケアの評価
  5. 人材確保、処遇改善、物価上昇への対応

これらは注目事項であり、具体的な報酬改定内容がすべて決定したことを意味しません。審議資料、告示、通知を確認し、検討段階と決定事項を区別する必要があります。

9.まとめ|地域で暮らし続けることを支える制度へ

4つのサービスに共通するのは、住み慣れた地域での生活を支える役割です。人材不足や物価・賃金の上昇、重度化や医療ニーズに対応するには、事業所の経営安定性も欠かせません。一方、制度の持続可能性を考えるときにも、利用者の意思や暮らしを置き去りにしてはなりません。

必要なときに必要な支援を受けられること。住み慣れた地域で自分らしく暮らせること。そして支える職員や事業所も安心して働き、運営を続けられること。福祉教育ラボでは今後も一次資料を確認し、現場に必要な情報を整理していきます。

あわせて読みたい

参考資料・出典

  1. 第268回介護給付費分科会 資料1
  2. 第269回介護給付費分科会 資料1(定期巡回・夜間対応型)
  3. 第269回介護給付費分科会 資料2(小規模多機能)
  4. 第269回介護給付費分科会 資料3(看護小規模多機能)
  5. 第269回介護給付費分科会 資料4(認知症対応型共同生活介護)
  6. 第262回介護給付費分科会 資料1
  7. 第257回介護給付費分科会 資料2
  8. 第257回介護給付費分科会 資料3
  9. 第266回意見交換会・日本認知症グループホーム協会提出資料
  10. 社会福祉法等の一部を改正する法律の公布について(通知)
  11. 国会提出法案本文(第221回国会 閣第45号)
  12. 成立法律(附則第1条・第13条)
  13. 第269回介護給付費分科会 資料一覧
  14. 介護給付費分科会 開催状況一覧